Wednesday, July 11th 2007
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インタビュー |
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Shin-Ski of Martiangang |
Electric『Life's A Struggle』に始まり、Time MachineやProcussions、Funky DLといった海外のアーティストから、くるりのリミックスまで手がけ、ShinSight Trioや『Blue Chronicle』参加などで、日本のヒップホップ・シーンで瞬く間に知られる存在となった尼崎市出身のDJ/トラックメイカーShin-Skiが待望のソロ・デビュー!その作品リリースにあわせ、Shin-Skiに直撃インタビュー!親交の深いスタッフとの、終始和やかな雰囲気で行われたインタビューの模様をドドンとお届けします!
参加者:
・Shin-Ski
・Miclife ツヅラップ
・HMVベテランスタッフ:K
・HMV新人スタッフ:O
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期限がなかった分、ほんまにやりたいこと出来た感じかな。
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■完成したアルバムについて
―― 完成おめでとうございます!
Shin-Ski: ありがとうございます!!
―― 長かったですね〜。
Shin-Ski: Shin-Ski: 4年前くらいから(ソロアルバムを)作る作るとは言ってたんやけど、実際どうしたいってのがなくて、ただ漠然と作りたいっていうイメージだけあったのね。曲はずっと作ってたから、出来る度に自分の中で選別して、これはソロ用にしよう、これは別の誰かのリミックスに使おうとかそういう分け方をしていたんよ。
ターニングポイントは、2年前くらいかな。たまたまOthelloがこっちに遊びに来たときに「何かビートないの?」って言われたんで「あるよあるよ」みたいな感じになって、とりあえず1曲ラップやってもらったのね。それで自分で「あ、ちゃんとやればできんねや」ってわかって。でも、合間合間に『Blue Chronicle』とかShinSight Trioとかリミックスの仕事とかあったから、ソロはゆっくり作っていこうかなってのがあって、逆に期限がなかった分、ほんまにやりたいこと出来た感じかな。
―― 僕たちが最初に会ったのっていつ頃でしたっけ?
Shin-Ski: 2003年かな。
―― その頃ってOthelloとかそういうグループの連中と遊んでたりしてたんですか?
Shin-Ski: Othelloは違うけど、InsightとかTime Machineはずっとアメリカいた頃からツルんでたよ。
―― 当時って、Starving Artist Crewとかあの辺が熱かったじゃないですか。
Shin-Ski: ああ、そうやね。Crown City Rockersとか。
―― Missionとか。
Shin-Ski: そうやそうや!
―― そういうのが、Shin-skiさんのやりたいことだったんですか?
Shin-Ski: うーん...。そういうのともちょっと違くて、オレ、昔から作る曲はこんな感じやったん。だから、たまたま(ブームに)乗ったみたいな感じはあるねんけどね(笑)。
―― 『Shattered Soul On A Patel Sky』は、ラップとか歌が入ってる曲がかっこいいですよね。
Shin-Ski: ああ。『Blue Chronicle』の時のインタビューでも言ったことあんねんけど、オレの中でラップって最低の必要条件なんよ。今回はインストとかも入ってるけど、それもラップを延々と聴かせるんじゃなくて、アルバムの中の「抜き」みたいな部分としてのインストだし。なんやろ、頭の中で鳴ってるのかな?インスト聴いてるんだけど、フロウみたいなものが鳴ってるん。
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DJ Realはオレがアメリカに行った時最初に友達になったやつで、もともとバトルのDJだった。
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■ゲスト陣について
―― ゲスト陣との出会いについて教えて頂けますか?
Shin-Ski: まず相方のDJ Realは、オレがアメリカに行った時最初に友達になったやつで、もともとバトルのDJだったん。オレ、当時結構雑食で、ヒップホップも聴いてればエレクトロニカとかロックも聴いてて、そんな雑多感みたいなのを一個に集めた感じのトラックを作ってて、たまたまそれをDJ Realがオモロイって思ってくれて、それからお互いに音楽を交換するようになったん。で、2人でユニットMartiangangを組むことになったん。
Procussions
Shin-Ski: 初めて来日した2005年だね。Remixコンテストで勝って、ライブの時に前座でDJとかして。Procussionsは、あの独特のグルーヴ感が好き。でも一番好きなのはあのMC。3人ともクソ上手いし、声域も高中低って綺麗に分かれてるやん。あんなんで絡まれたらたまらんよね(笑)。
Dagha
Shin-Ski: Electricの『Life's A Struggle』の時、オレ等に仕事の依頼が来て一回Insightの家に集まったことがあったんねん。それからかな。Insightやアイツらとはよう遊んでたなぁ〜。
Apani B Fly MC
Shin-Ski: Apaniさんは日本に帰ってきたての頃かな。その頃、アルバム(『Story 2 Tell』)出したん。仕事上の関係で会った時に、オレ、ビート作ってんのよってんで、作ったビートを持っていって、車で移動してる時にApaniに聴かせたら、「凄いカッコいい、これでラップしたい」ってなったん。
ちなみにその曲は『Blue Chronicle』に入ってる「Soul Believer」とTime Machineの「On The Moon」やったの。
―― Apaniってどんな人ですか?
Shin-Ski: なんかすげぇ繊細やけど、タフな感じ。
―― Natural ResouceのWhat? What?とかこういうタイプですよね。
Shin-Ski: 懐かしいな〜(笑)。Jean Grae。フロウとか似た感じあるかもね。
ツヅラップ: 仲良しだったらしいですよ。
Shin-Ski: 過去形なんや(笑)。
Othello
Shin-Ski: 最初知らなかったんけど、Miclifeから出たCD聴いてすげぇかっこいいって思ったん。で、Procussionsと一緒に来日してから仲良くなったん。普通に話してて、一番気さくなやつかな。
Nikko
Shin-Ski: 「Flow High」は歌ものやろうと思って、オレが前から好きやったスウェーデンのNatalie Gardinerっていうシンガーに頼むつもりで作ったンよ。ああいう冷たい感じのする氷みたいな歌声めっちゃ好きやん。でも見事コケて、ビートだけあぶれちゃって。でも凄い好きなビートやったから代わりに誰かと思って見つけたのがたまたまMiclifeでリリースしたDJ DrezとMarty Williamsのアルバムに参加していたNikkoちゃんで。声もいいし、仕事も早かった。
―― こういう温度低めなシンガーが好きなんですか?オススメの人いますか?
Shin-Ski: もともとこういう暗めの歌もん好きになったのって、Jocelyn Montgomeryで、David Lynch監督がプロデュースしたやつ。グレゴリアン・チャントみたいなのをベースにしたもんなんやけんど、かなり奇怪な音なの(笑)。でもそれがもの凄くキレイ。
Funky DL
Shin-Ski: 日本帰って来てからかな。もう全ッ然知らなくて、多分向こう(US)では全く知られてないと思う。日本帰ってきて、DL人気が凄いことになってて、「なんやお前知らんの?!」って驚かれて、完全にアブレもんみたいだった(笑)。その後、何回か来日した時に、オレ通訳で借り出されて仲良くなったん。DLがアルバム出した時にオレがリミックス作ってさ、それがまたエラい気に入ったらしくて。
Louis Logic
Shin-Ski: 初期から大ファン。オレのまわりの友達もみんな好きで、サイトで売ってた完全自主制作の1stアルバムとか注文したくらい(笑)。で、Insightが昔、何回かLouisと仕事したことあったんで紹介してもらったん。「Idiot Gear」みたいなポップなイメージがあったからそういう曲を3、4曲送ったのかな?でも向こうはそういうムードじゃなかったみたいで(笑)。「もっとガツンと来るやつが欲しい」って言われたから、「こんなんどう?」っていうのを出したのが「Let You Slide」。
Insight
Shin-Ski: Insightとはほんま、オレがこんな仕事出来るようになったきっかけみたいな人でもあるし、もともとすげぇファン。1stの『Updated Software』聴いてたら、うちの相方のDJ RealがInsightと知り合いだったことが判ったん。それで何かのパーティで彼の家に行った時に、普通にファンですって紹介してもらって。そしたらうちの相方、用意周到だから(笑)、ちゃんとオレが作ったビートを持って言ってくれててさ。ついでに「これオレが作ってるビートです」って渡したら凄く気に入ってくれて。それでElectricのあの仕事が来たんよ。
―― 彼はジャズの人ですか?
Shin-Ski: いや、あの人はメカな人やね。めちゃくちゃ頭良いし、普通にマサチューセッツ工科大学の夜間コース卒業していたりしてて、すごいメカおたくなん。昔さ、あいつ遂に気ふれてサンプラー作ったらしいでってボストンの仲間内で噂になったことがあって(笑)。でも実際、蓋明けてみたら、当時やたら他人のサンプラーを修理してたらしくて、いつの間にか話が膨らんでただけだったっていう(笑)。
―― メカって感じはしないですよね。
Shin-Ski: ああ、でもね、顕著に出てる部分あるねん。ドラムの組み方とかも数字で置いてってるような人やから、独特のグルーヴ感みたいなのがあるだよね。でもほんま適当な性格で、アイツん家のレコードってほんま酷くて、レコードとか裸で箱に入ってる。チョコレートが溶けてくっついたレコードとかあったり、明らかに盤が割れてて3/4くらいしかないレコード盤があったり(笑)。それで、「これどうするんの?」って聞いたら、「この3/4の残ってる部分を使う」って。すげー適当(笑)。ほんま才人やと思うわ〜。裏技もいっぱい教えてもらった。
Time Machine
Shin-Ski: DJのMekalekがうちの相方と仲良くて、それから。MekとJaysonicはロードアイランドのプロビデンスってところに住んでてオレの住んでるところからすげぇ近かったんだよね。Comelはお兄さんがThe Diplomats(Dipset)のメンバーでもともとメジャーっぽい業界にいたんだよね。それで、ある時相方宛に電話かかってきて、話してたら、オレ等日本で今めっちゃ売れてるらしいんだけど、日本の事情が聞きたいって言われてさ。でもオレもアメリカ長かったから、日本のことなんてさっぱりわかんなくって(笑)。
そうそう。オレTime Machineのレーベル<Glow In The Dark>のオフィスで働いてたんよ(笑)。「Reststop Sweetheart」、日本でめちゃくちゃ売れたでしょ。あの時、今大変やねん、日本語話せるやつ必要やねんって言われて電話に出るようになったのが最初、結構働いたね〜(笑)。
ツヅラップ: Grow In The Darkの前のサイトにShin-Skiの写真ありましたもん。電話しながらVサインしている写真が(笑)。
Shin-Ski: 家の地下を改造したところでめちゃくちゃ汚いん!そこで請求の電話とかしてた(笑)。まあヤツらは友達みたいな感じかな。よくパーティーも一緒に行ったし、べろんべろんになって車ぶつけたりしたし(笑)。
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コンタクトとったらすげー気さくな良いコでさ。
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Melodee
Shin-Ski: 今回フィメール・ラッパーも入れたいなって話してて、2、3年前にEP出した頃からファンだったからコンタクトとったらすげー気さくな良いコでさ。
―― またApaniとは違った感じですよね?
Shin-Ski: ちょっと色が違うかな。Apaniとかは攻める感じ?リリックとかも強気な言い回しとかあるけど、Melodeeちゃんはもっと明るいポジティヴ。
Yuichiro Kato & Takasada Inada
Shin-Ski: KatoさんはStudio ApartmentとCalmとかの作品に参加してて、Katoさん自身もCalmプロデュースでアルバム出したりして、クラブ業界では有名なサックス吹き。オレが好きなJohn Klemmerみたいな曲を作りたいって思ってて、「いいサックス吹きおらへん?」って回りの人に聞いたら紹介されたのがこの二人やったん。サックスのデュオってあんまないし、面白そうやからやってみようと。
―― この曲、完全にお父さんの影響ですよね?
Shin-Ski: うん。もう丸出し(笑)。ほんまうちのオヤジ、John Klemmer凄い好きでさ。
ツヅラップ: 親孝行。
Shin-Ski: オヤジありがとう(笑)。
ツヅラップ: John Klemmerの新作って言って聴かせれば?
Shin-Ski: うちのオヤジ騙されるからね。そうかって(笑)。いやどうせならJohn Klemmerがオレのアルバムに出てくれたんやって言う(笑)。
―― それまでって、独りでビートを作ってて、こういうアーティストと絡むようになってからって制作姿勢っていうのは変わってきました?
Shin-Ski: 一貫して変わらへん。なんか、誰かのために作るっていうのはなくて、出来てからこれは誰々に合いそうやなっていう後付けが多いんやと思うんね。あんま気にせんで自分が聴きたいものを作るっていう姿勢なんやと思う。誰かをイメージして作るってのは、曲でそういう依頼があった時以外はやらへん。
―― くるりのリミックスやってましたよね。四つ打ちでしたっけ?
Shin-Ski: うん。結構速めでBPM110くらいあったのね。なんかヒップホップにしてもおもろくないなって思ってさ。あれ、機材ほんま使ってないからね。Boss DR-202 Dr.Grooveっていうさ、今だったらソフマップで激安(笑)。
―次のページへ続く―
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