●第三夜『はらいそ、の音楽 コーヒーハウス・モナレコーズの細野晴臣さんトリビュート・アルバム』発売記念 小西康陽さん四夜連続インタビュー

2025年12月17日 (水) 18:00

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『はらいそ、の音楽 コーヒーハウス・モナレコーズの細野晴臣さんトリビュート・アルバム』12月17日発売を記念して、小西康陽さんインタビューを四夜連続お届けします。


●第三夜

細野さんのエピソード、いかがだったでしょうか。ふらっとステージに降り立ち、4曲歌って帰っていく…。イメージするとそれはとても細野さん”らしい”ような。

小西さんは小西さんで細野さんにステージの上でギターにサインをもらうなんて。さすがです。

第三夜の今夜は本日発売『はらいそ、の音楽 コーヒーハウス・モナレコーズの細野晴臣さんトリビュート・アルバム』のお話を中心にお送りします。すでにお手元にアルバムがあり、聴いてらっしゃる方も多いかもしれません。発売日ですから、多少のネタバレも含めてお届けしましょう。

私はこのアルバムの1曲目、INO hidefumiさんの「アヤのバラード」冒頭で感涙です。

● 『はらいそ、の音楽 コーヒーハウス・モナレコーズの細野晴臣さんトリビュート・アルバム』について

――今回の『はらいそ、の音楽 コーヒーハウス・モナレコーズの細野晴臣さんトリビュート・アルバム』は本当に素晴らしかったです。普通のコンピレーションというと、この曲はいいけど、この曲はよくないなとか、ばらつきがあるな、っていうようなものが私としては多いんですけど(笑)。

小西康陽(以下、小西):そうですよね。僕もそう思いますよ(笑)。

――この統一感はなんなのかという。全曲が一つの流れでなめらかに流れていって。どういう工夫がされているのかもぜひお伺いしたいです。

小西:ああ。流れが素晴らしいって、先ほどの「ミュージック・マガジン」さんのインタビューでもおっしゃって下さったんですけど、自分でそれを考えたわけじゃなかったんですけど、結局のところ、統一感があるのは、もう何よりもやっぱり細野さんの楽曲だからですよね。


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※小西康陽×澤部渡〜『細野晴臣さんトリビュート・アルバム』を語る(松永良平)収録


――なるほど。

小西:うん。細野さんの楽曲には何かこう、一つの色があったなと思うし。そして、もう一つはやっぱり「全部弾き語りで」ってお願いしたので、この形になったんじゃないかなと思いますね。最初、すごい地味なレコードになっちゃうんじゃないかと思って心配して、まあ実際地味なレコードなんですけど(笑)、何度も聴けちゃいますよね。

――はい、エンドレスに。

小西:僕も一度聴き出すと2回3回と聴いちゃいますね。

――参加されている方はみなさん、細野さんも含め、「コーヒーハウス・モナレコーズ」に出演された方ですよね?楽曲を選ぶ際にみなさん、どのように決められたのでしょうか。

小西:基本はお任せだったんですけど、INO hidefumiさんには「アヤのバラード」、YOSSY LITTLE NOISE WEAVERのお2人には「恋は桃色」をリクエストしました。

――なんとなくこの曲をやってほしいという、イメージみたいなものが小西さんの中にあった。

小西:そうでした。なんか聞こえてたんですよね。

――みなさん、「コーヒーハウス・モナレコーズ」に出演された際に、細野さんの楽曲をそれぞれ演奏されていたということもないんですよね?

小西:そうですね。伊藤(尚毅)くんは細野さんの「冬越え」をやったかもしれない。で、彼の「冬越え」と僕の「終りの季節」は、去年すでに7インチ『伊藤尚毅と小西康陽が細野晴臣を歌う』(『失恋と得恋』リリース記念ツアー時に東京・大阪・福岡会場で販売)を出していて。

――まさにそのレコードを持参しました。今日は「モナレコード」でのご取材であの階段で小西さんが伊藤さんと写真を撮られているジャケットでもありますので。

小西:ありがとうございます。

――小西さんは『はらいそ、の音楽』でも「終りの季節」を選ばれましたね。

小西:うん、そうですね。でも、今回このアルバムに「終りの季節」を入れたのは、僕のパフォーマンスを聴いてもらいたかったからというよりは、この曲の前後の細野さんのMCを聴いてもらいたかったからっていう感じですかね。一応、おまけとして。

――「細野晴臣を歌う・ライナーノート 小西康陽」にも書かれていますが、CDのMCには、『カントリー・パンプキン』のお話も入っていましたね。(1972年発売、翌1973年に『HOSONO HOUSE』でセルフカバー)今レコードはとても高いようですが。

※HMV限定特典 別冊「はらいそ、の音楽」へ「細野晴臣を歌う・ライナーノート 小西康陽」再録の許可をいただきました。

小西:らしいですね。なぜか細野さんがくれたんですよね。

――そのレコードのお話、とてもおもしろかったです。でも、ご本人を前に細野さんの曲を弾き語りで歌うというのは緊張しますよね…(笑)。

小西:しますね…(笑)。でも、僕が歌い始めたら、細野さん、横でちょろちょろとギター弾いて下さるんですよ。

――おー。音源を細かく聴いてみるとわかりますかね。

小西:わかると思いますよ。僕が自分で弾けていないところを細野さんが弾いて下さってます。

●『レディメイド、細野晴臣を讃える』

――当日のステージ上の様子、特に小西さんと細野さんのおしゃべりの部分から、私は『我が名はムッシュ』を思い出して、それも今日持ってきました。

小西:ああ。

――小西さんは意識的にナレーションを作品に入れられる印象もありまして。

小西:はい。

――歌だけではなく、お話を音源のように扱う、そこにはどういった思いがあるのかなっていうのは伺いたいなと思っていました。

小西:しゃべり言葉はね、確かにその人が出ますよね。あのね、僕も『我が名はムッシュ』のことを思い出してて。

――そうでしたか。

小西:うん。で、もっと言うと、あれは95年ですけど、ソニー・レコードでバート・バカラックのコンピレーションを作ったんですよ。それはタイトルが『レディメイド、バカラックを讃える』っていうタイトルだったんですけど。そのCDにはコンピレーションであるにも関わらず、バカラックのしゃべったコメントが何曲か入ってて。

――おお。

小西:そう。だから、そこから始まって、つまり僕が、ムッシュのアルバム『我が名はムッシュ』というタイトルですけど、『レディメイド、ムッシュかまやつを讃える』と言ってもいいようなアルバムだと思ってるんです。で、その第3弾がこれだなと思ってますね。

――『レディメイド、細野晴臣を讃える』

小西:うん。だから、細野さんを讃える人は多いけど、僕なりに作ってみたらこれだったって感じかな。

――細野さんは圧倒的に声がずるいですもんね。リストのカバー「愛の夢」(demo version)でのあのハミングとか、本当にずるいです(笑)。

小西:そうなんですよ(笑)。

――ロマンチックで優雅でした。私は「Eテレ2355」のおやすみ前の細野さんのあの声を同時に思い出したり。小西さんが「はらいそ、の音楽・プレスシート」へ寄せられたコメントの中に「夜のひととき、真夜中をまわった頃にひとり小さな音で聴きたいアルバムとして仕上げることができるなんて、こんなに幸せなことはありません」とも書かれていて。

※HMV限定特典 別冊「はらいそ、の音楽」へも「はらいそ、の音楽・プレスシート」収録の許可をいただきました。

小西:そうそう。僕、今だいたい深夜から夜中の3時ぐらいまでが自分のリスニングタイムで。最近買ったレコードとか、昔から好きなレコードとかを聴いてるんですけど、大体その時間に聴くと、うるさくない静かな、弾き語りのレコードとか、クラシックのレコードとか、そういうのになっちゃうんですけど。まさにその時間のために作ったようなレコードだったり。

――そこに細野さんの声が貢献されている。

小西:本当に。だからね、「自分が作りたい、自分が聴きたいレコードを作っちゃったな」って思ってますね。たくさんの方にぜひ聴いていただきたいなという風に思いました。

――自分の感想になっちゃうんですけど、直枝(政広)さんの「夏なんです」がすごかったです。

小西:僕も同じです。直枝さんばっかり聴いちゃう。

――そのまま歌われてますよね。それであんなにご自身の表現になっているのがすごい…。

小西:そうなんですよ。直枝さんに本当にその通りに書いて返信しちゃったんですけど、最初「え? 完コピ?」って思ったんですよ(笑)。

――そうですよね(笑)。

小西:うん。本当に聴けば聴くほどすごいっていうか。なんかね、もし直枝さんがリクエストを聞いてくれるなら、僕が自分でお金を出すから、僕の曲をカバーしたアルバムを作って欲しいです。 本当にそれぐらい、なんて言うのかな、ボーカリストとしての直枝さんに痺れました。

――細野さんのライブ音源の後に直枝さんの「夏なんです」が入り、そして、その後の矢舟(テツロー)さんの「福は内鬼は外」のピアノアレンジも斬新でした。ピアノでの弾き語りもいいですね。

小西:うん。矢舟さんから音源が来た時に、最初の「椅子のギシギシっていう音と、ゴホンっていう咳払いは省きますか?」って一応お尋ねしたんですけど、「あれはオリジナルバージョンに対するオマージュなんで残して下さい」と。

――マニアック…(笑)。それから、ジョンとポールさん、やっぱり最高でした。私は「Hi-Fi Record Store」のお年玉プレゼント『これからの人生。選曲・小西康陽』でジョンとポールさんを知りました。

小西:ありがとうございます。最高でしたよね。彼のトラックが今回一番最初に届いたんですけど、この「はらいそ」を聴いた夜に今回のタイトルを決めました。

僕は『はらいそ』(細野晴臣&イエロー・マジック・バンド)は「ジャパニーズ・ルンバ」とか好きだけど、その前の『泰安洋行』に比べると、聴いてる回数がすごい少なかったかもしれない。でも、今回『はらいそ』からはジョンとポールの「はらいそ」と伊藤尚毅さんが「四面道歌」をカバーしてくださって。改めて聞き直さなきゃと思いましたね。

あと、金田(康平)くんの「しんしんしん」っていうのはね、自分の中でははっぴいえんどの1stって、あんまり聴いてなかったかもしれないから、結構新鮮でしたね。

●「風来坊」のカバーのこと

細野さんって、最初からもう細野さんなんだなって思った。

――具体的に、最初から細野さんっていうのは、小西さん的にどういう部分が細野さんなんですかね。

小西:うーん。いや、僕すごい影響を受けてると思った、自分で。あの、なんて言うんだろう。コード進行とか、あるいはスケールとか。なんか、好きな転調とかあるんですけど。でもあんまりやらないタイプの転調もあって。完全に自分と重なってるっていうか。

僕はニール・ヤングとかから影響を受けてるのかなって自分で思ったんですよね。なんのことはない、細野さんだったんだなって気付いたりとか。

――ご自身で演奏されて、気付くことが改めてとても多いということですかね。

小西:そうですね。今回、特に「風来坊」のカバーをやって、自分の音楽、全部これに入ってると思っちゃった。

――おお。

小西:気付いた、改めて。本当にこのシンプルな、コンパクトな曲の中に僕の好きなものとかが全て入ってて。でもそれにちゃんと気付いた俺も偉いな、中学の時に、なんて(笑)。

――小西さんバージョンの「風来坊」も新鮮でした。

小西:僕も大好きな曲なんだけど、今まで自分でコードを取ってみたりとかしたことなかったんですよ。 やってみたら、「ああ、もうこれ、俺の曲じゃん!」みたいなぐらいに俺だったから。ただ、ギター弾くの難しくて(笑)。みんな、ノーダビングなんですけど、俺だけダビングしてます。 ギターをまず取ってから、あとで歌った、と。この時点では同時にできなかったんです。今はできます(笑)。

――練習をされて。

小西:練習重ねました。

――他にも「コーヒーハウス・モナレコーズ」に出演されているけれど、本作には参加されていないアーティストの方もたくさんいらっしゃいますね。

小西:そうですね。お願いしたい方、まだまだたくさんいらっしゃるんで。まあ、まあ、また次の機会もあるでしょう。売れたら第2弾やるんで。

――売りましょう(笑)。


HMV限定特典は64Pオリジナル冊子! ※ご好評により、現在「お取り寄せ」表記ですが、メーカーから納品され次第、特典をお付けして発送いたします。

小西さんへのインタビュー取材をきっかけに「コーヒーハウス・モナレコーズ」のみなさんに細野さんトリビュート・アルバムについて声を寄せていただく冊子ができあがりました。

小西さんからは表紙と「声」の直筆文字、さらには 「声にまつわる話」を書き下ろしていただきました。

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明日の第四夜はいよいよ最終回。 ●最近よく聴いているレコードと聴いて欲しいレコード
●ノラオンナさんと弾き語りについて+「コーヒーハウス・モナレコーズ」ライブレポート
それでは、また明日の夜にお会いしましょう。


「コーヒーハウス・モナレコーズ」のみなさん


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細野晴臣

これほど日本の音楽シーンに燦然と輝きながら、妙に地味な立ち位置に落ちついている人もいないのではないだ...

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HMVスキハピ編集部

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