アルティノグル&フランクフルト放送響/ショスタコーヴィチ:交響曲第4、5番(2CD)
2025年09月05日 (金) 18:00 - HMV&BOOKS online - Classical

アルティノグルとhr響によるショスタコーヴィチ交響曲全集、大作2曲で始動!
アラン・アルティノグルが、2021年から音楽監督を務めるフランクフルト放送交響楽団(hr交響楽団)と共にショスタコーヴィチの交響曲全集の録音を開始。名手揃いの優れた管楽器セクションと力強い弦楽セクションで定評のあるオーケストラだけに、期待が大きく膨らみます。
その第1弾は、最大の編成を持つ第4番と最も高い人気を誇る第5番という、インパクトのある2曲がいきなり登場となりました。ショスタコーヴィチの人生で最も暗い時期に書かれたといえる2曲ですが、それぞれは大きく違う道を歩みました。マーラーの影響を大きく受けて1935年から作曲を開始、翌1936年に完成した第4番の初演はリハーサル段階でソヴィエト当局の介入により中止を余儀なくされ、その後1961年まで陽の目を見ることはありませんでした。逆に、その名誉挽回としてさらに翌年の1937年に完成した第5番の初演は絶賛を持って迎えられ「社会主義リアリズムの理想」とまで讃えられましたが、ショスタコーヴィチ本人は「短調のピアニッシモで終えていたら、彼らは何と言っただろうか?」と皮肉を込めて語ったと伝えられ、戦闘的なフィナーレは「英雄的な行進」であると共に「自滅への行進」という裏の意味も込められていると言われます。
今回、アルティノグルはこの隠されたダブル・ミーニング的な解釈に注目。2曲を通してオケの力量を最大限発揮した圧倒的な強奏と細部にまでこだわったバランスで、ショスタコーヴィチの皮肉と諧謔性をこれまでになく見事に引き出しています。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
ショスタコーヴィチ:
1. 交響曲第4番ハ短調 Op.43
Disc2
2. 交響曲第5番ニ短調 Op.47(革命)
フランクフルト放送交響楽団(hr交響楽団)
アラン・アルティノグル(指揮)
録音時期:2023年2月(1)、4月(2)
録音場所:フランクフルト、ヘッセン放送ゼンテザール
録音方式:ステレオ(デジタル)
【ショスタコーヴィチの交響曲第4番・第5番について】
■交響曲第4番
作曲者自身が「自分の書いた最高傑作、第8番よりももっと良い出来」と語るこの作品は、ショスタコーヴィチの交響曲の中でも特異な経緯を持ついわくつきの音楽。30歳の時に完成した画期的な交響曲であり、リハーサルの途中で作曲者みずから発表を中止。紆余曲折を経て、実に25年後の1961年、〈雪解け〉といわれる状況の中、コンドラシンの指揮でようやく初演が行なわれたというものです。
その後の成功予定作(?)の第5番と較べると、この第4番は余りにも斬新かつ凶暴であり、前年に当局に批判されたポポフの交響曲第1番や、自身の『ムツェンスク郡のマクベス夫人』の二の舞になることをショスタコーヴィチが恐れたのも無理からぬことだったのでしょう。
確かに、この問題作から感じられる異様なまでの激しさ、力強さ、残虐さは比類のないものであり、それらに戦争や圧政の影を結びつけて考えるのも自然なことかもしれませんし、また、並存する諧謔的な表現についても、複雑なアイロニーの発露と考えれば納得も行きます。
とはいえ、そうした時代背景への認識を抜きにしても、マーラーの2番や7番、1番、マイスタージンガーの引用(パロディ)を経た大音響地獄の果てに、最後は美しく静かなコーダに収斂されてゆくという重層的な構図は、交響曲好きにはたまらないところです。
■交響曲第5番
ショスタコーヴィチの交響曲の中で最も人気のある作品。天候不順と農政失策が引き起こした大飢饉によるソ連国民の餓死者500万人以上ともいわれる1930年代、スターリン派の政治家が対抗勢力に暗殺されたことに激怒したスターリンが政治的な大粛清を開始、その犠牲者もほどなく数百万人規模に達し、第二次世界大戦前ながら、すでにソ連国内の社会不安は極点に達していました。
この時期、ショスタコーヴィチは自信作ながら問題作でもある交響曲第4番をすでに完成させていましたが、最悪の場合の拒否反応を想定して初演をとりやめ、社会不安に打ち克とうとするかのような交響曲第5番を新たに作曲、社会主義リアリズム的な明解さをも表現して大成功を収めています。(HMV)
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