ベルリン古楽アカデミー/ハッセ:『ピラモとティスベ』(2CD)
2025年08月06日 (水) 19:00 - HMV&BOOKS online - Classical

モーツァルトも敬愛したハッセ最晩年のオペラ
禁断の恋、たぎる情熱、あふれる抒情・・・それまでの慣習を打ち砕く傑作
9歳のモーツァルトは「ヘンデルやハッセのように不滅の存在になりたい」という言葉を残しています。バロック時代、最も頻繁にその作品が演奏された作曲家のひとり、ヨハン・アドルフ・ハッセ。ハッセの最高傑作『ピラモとティスベ』(リブレット:マルコ・コルテッリーニ[1724-1777]、初演:1768年、ウィーン)の豪華新録音の登場です。
オペラの物語は古代バビロン。若い恋人たちが両家の対立によってその幸福を阻まれ、死によってのみ結ばれるという「ロミオとジュリエット」的な内容です。曲と曲が自然な流れでつながっており、ひとつの場面のまとまりに統合されており、またレチタティーヴォがフル・オーケストラで伴奏されているなど、当時の慣習を打ち破るような要素が多数見られます。
ベルリン古楽アカデミーによる魅惑のオーケストラ。メイン・キャスト2名はヤーコプスも認めるソプラノのアネッテ・フリッチュと、ビオンディからアバドとの共演、来日も多いソプラノのロベルタ・マメリ。絹のようにやわらかく美しい歌声の連続です。父親役のジェレミー・オーヴェンデンは世界最高のモーツァルト・テノールとも称され、ニコライ・ゲッダのもとで研鑽を積んだ完璧なコントロールで聴かせます。音域の広いハッセの歌唱パートを自在に歌い上げています。
イタリア文化を吸収したドイツ人として、ハッセは半世紀にわたりヨーロッパ全体でオペラ・セリア(大規模なドラマティックなオペラ・ジャンル)の形式に決定的な影響を与えました。プロイセンのフリードリヒ大王やオーストリアの女帝マリア・テレジアといった君主たち、そして一般大衆からも高く評価されました。当時のハッセの輝きぶりからすると、現代におけるハッセの存在はやや軽めになっていると言えるかもしれません。これは現存する手稿譜の数が膨大なため、彼の作品と活動全体を明確に把握することが長らく困難だったことと、宮廷の文化的文脈で生まれたオペラ・セリアは18世紀になると次第に時代遅れとなっていったことなどが理由として挙げられます。ハッセの再評価が進んだのはこの20年ほどのこと。そうした中でまたひとつ、ハッセの音楽の神髄を味わわせてくれる秀演が誕生しました。ハッセ自身は『ピラモとティスベ』を自身の最高傑作のひとつと考えており、オペラのキャリアを引退する計画を立てていました。しかし本作の完成と前後して、マリア・テレジアから息子の結婚を祝うオペラを作曲するように言われ『イル・ルッジェーロ』を作曲、これが失敗に終わってしまいました。この『イル・ルッジェーロ』の上演の翌晩には、15歳のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトによる劇場セレナータ『アルバのアスカニオ』が輝かしい成功を収め、時代の変遷を象徴することとなってしまうのでした。いずれにしても、モーツァルトの憧れの存在であったハッセの最高傑作であるこの『ピラモとティスベ』に待望の名演が誕生したことは注目に値するといえるでしょう。(輸入元情報)
【収録情報】
● ハッセ:歌劇『ピラモとティスベ』全曲
アネット・フリッチュ(ソプラノ/ピラモ)
ロベルタ・マメリ(ソプラノ/ティスベ)
ジェレミー・オーヴェンデン(テノール/父)
ベルリン古楽アカデミー
ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)
録音時期:2024年5月
録音場所:ベルリン、b-sharpスタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル)
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