【HMVインタビュー】 環ROY 『ラッキー』
Monday, April 1st 2013
最新作は、実にシンプルで軽妙な言葉と、わかりやすさを備えて僕等に届けられた。環ROYが、その鋭敏な感性で感じ、極限まで煮詰め削ぎ落とした言葉たちは実に雄弁だ。一から十まで説明するような言葉とは全く別種の、伝わるわかりやすさがここにある。同じ時代を生き、みんなが何となく感じている感覚とコミットする全12曲。
今回はメールでのインタビュー。この作品制作時に環ROYが感じていた事、それを作品にするまでの道程。その丁寧な回答をどうぞご覧下さい。
--- 2年ぶりのニューアルバム『ラッキー』の完成おめでとうございます。出来上がった率直な感想をお願いします。
わー出来上がったー!って感じです。いまはもう、次になにをしようか考えています。
--- この2年間、どのような日々を過ごしていましたか?
2011年は創作活動みたいな事はほとんどしてなかったですね。出来なかったっていうのほうが正しいかも。ありがたいことにLIVEは沢山呼んで頂けていたので、それに全力で向き合っていました。2012年の春くらいから歌詞を書き始めて、秋頃から録音に入っていきました。
--- 全体的に、環ROYさん自身が生きるスピードをゆるめて、立ち止まったところに広がっていた世界を描いているように感じました。この2年間、ご自身の中での変化も大きかったのではないでしょうか?
そうかもしれないです。というか、みんなそうだったんじゃないかなーと思ってます。そう思いたいです。一回立ち止まって上下左右、というか、過去、現在、未来を「気をつけ」してみてみよう、みたいな。けど「気をつけ」感が出ちゃうのも重くなって嫌だったので、それが出ないように頑張ってライトにしたつもりです。ラッキーってアルバムタイトルもそんな思いでつけました。描きたかったのは僕個人の物語というより、誰が歌ってもいいモノですね。おっきな流れの中で脈々と流れ続ける普遍性みたいなモノを歌えるようになれたらいいなって思ったんです。大河の一滴、的な話です。で、その時、固有性とか個性、主観、みたいなモノを一回疑ってみる作業をしました。市井の人の声みたいなモノに近づいたらいいなって考えてました。
--- これまであった、苛立ち、不安や焦燥感、プレッシャーと、折り合いをつけたところにある作品なのかなと。
苛立ちとか不安とか焦燥感とか、いまも満載ですよ。そしてそんな気持ちは歌詞の中に沢山入っています。いま、ここで、そんな気持ちがないほうが不自然だとも思います。けど、それを直接言ってもあんまり多くの人に伝わらないと思いました。なので、そういった強い気持ちをなにかに例えて歌えればなって思ったんですね。レイヤーの中に落とし込むことで余白とか、余裕とか、アソビみたいなモノが生まれて、違った解釈が起こっても、より多くの人がコミット出来るんじゃないかなって考えました。僕が意図していない解釈でも全然いいんです。実際、今回のアルバム、8割くらい恋愛の歌のように聞こえると思うんですが、実際、まんま恋愛を歌った曲は2曲だけなんです。原発事故以降の世界観を歌っていたり、二項対立でしか話ができていない状態から仲直りしてもう一度話そうって歌ってたり、それぞれ様々です。なんで恋愛のお話しにトランスレートしてるのかっていうと、多くの人が共有できる物語って、やっぱり恋愛くらいしかないと思ったんですね。時間が経過するたびに色々な事が細分化して主観的になっている今、その度合いはどんどん強くなっている気がします。
--- 複数の楽曲の中に「いまここ」というキーワードが使われています。脚色ない自分の現在地を把握し、受け入れた、新しい環ROYを感じましたがいかがでしょう。
僕の現在位置というよりみんなの現在位置って考えました。で、それが僕の現在位置を作る、とか映す、みたいなイメージでした。僕のスケールだと日本とか東京の話なんですけど、全員をひっくるめての「ぼくら」で、そのぼくらの「いまここ」って解釈で使っています。時間軸でいうと、過去にいた人、現在にいる人、未来にくる人、みたいな解釈です。そして現在にいる市井の人として過去や未来、現在にむけて歌えたらいいなって思いました。
--- 「Kids」は、“マイクを持った ビートが鳴った ライムをした ラップになった” と、原点を見つめた内容になっていますよね?
原点回帰的な事はなにも考えていませんでした。今回、作詞をすごくシンプルにしたいなーって思っていて、その気持ちが一番如実に出ている歌詞かもしれないです。ただ当り前のことを言ってるだけっていう。けど、案外ヒップホップになじみのない人には当り前じゃないかも。と思って歌いました。
--- リリック、メッセージも、とてもシンプルに削ぎ落とされているように感じますがいかがでしょう?
いい感じにシンプルになってたら嬉しいです。ポンって聞いてなにを言ってるのか分かるようしたかったですね。まず、日本語って表意文字だなーって所に気付きました。それで、言語構造の中に表現をどんどん削ぎ落としていく性質を内在させているんだなって気付いたんです。短歌、俳句って、行間に沢山のイメージを突っ込んでいく遊びだと思っていて。俳句なんて計17文字しかないけど、メッチャ豊かな表現に持っていく競争みたいな。あと韻も凄く重要でもっともっと踏みたいんですが、日本語って文字数っぽいぞ。って気付きました。5文字とか7文字の音節で刻むと、一般的な口語表現から逸脱せずに割と音楽的にシュッとすることが少しづつ解ってきました。
--- 「そうそうきょく」の中の、“ほとんどの人は僕と同じだった” というフレーズも印象的に感じました。
「そうそうきょく」は西洋音楽にある葬送曲の意味まんまですね。曲が出来てみて、漢字にするのも違うと思って平仮名にしました。この曲は「過去にいたけど、もういない人」へ、「今現在、ここにいる人」から、この先も大丈夫だよ、って報告する感じの歌です。「この先はこの先を見つめて」って歌っています。「話が出来なくてもここからは聞こえるよ。だから話続けよう。聞こえてるでしょ?」っていうフレーズで時間と空間を跨げるように努力しました。
--- 「little thing」は、環ROYさんの内面世界を感じる内容ですが、“あの時からかかっている暗示” とは何でしょう?
「little thing」は片思いの歌のように書きましたが、311以降に変わってしまった世界観の中で、大切な人をフッっと思う気持ちを歌っています。大切な人は、家族でも恋人でも友達でもペットでもなんでもいいのですが。もっともっと素直になれたらいいなーって気持ちを歌っています。
--- 「VIEWER」では、TV 携帯 PC… テクノロジーに対する環ROYさんの独特な哲学が垣間見える内容ですね。
「VIEWER」は、ある時「みんなずっと画面見てるなー」って思ったことがきっかけです。どこにいてもなんかの画面をみて、なにかを探してる。で、情報を見てみたり、友達を見てみたり、好きなタレントを見てみたりしてるけど、結局それって自分を探してるんだなーって思ったんですね。というのも、もし無人島に1人で生まれて1人で死んでいくとしたら、個人とか性格とか個性とか、そういったものは存在しない訳ですよね。みんな他者との関係性の中で、なんとなく自己を規定して、形成していると考えたんです。で、みんな、いつも、画面を見てる。そうやって、自分を探してる、って気持ちを歌いたいと思いました。
--- 「仲間」は、“冷たい都会”と“仲間の温度”という対比が、都市生活者の感覚を見事に表現していると感じました。
「仲間」は、時間と空間がもっとも明確に区切られている曲の一つです。歌詞の中に出てくる「そこ」、「ここ」、「あそこ」、は当り前ですが空間を意味しています。そして時間も意味しています。「そこ」が過去。「ここ」が現在。「あそこ」が未来になっています。そしてその枠組みのなかで、「あそこ(未来)」を向いて、「ここ(いま)」から、「ここ(いま)」と「そこ(過去)」に向けて歌っています。この手法は続く「いまここ」って曲でも使っています。
--- 最後に今後の予定を教えて下さい。
ヒップホップ、ラップの意味、価値の定義を拡張できるようがんばります。この空間とこの時間に対して、素直に自然なアウトプットを模索していきたいです。こういうのラッパーの人にいったら怒られそう…みたいなオファーが増えるといいなって思います。
--- 有り難うございました。
こちらこそありがとうございました。
環ROY(たまきロイ) プロフィール
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ラッパー。宮城県仙台市出身。2006 年に1stアルバム「少年モンスター」を発表。 以降、これまでに、最新作「あっちとこっち」を含む3枚のフルアルバムを発表する。 第15回文化庁メディア芸術祭大賞受賞作品「スペースバルーンプロジェクト」へ参加、楽曲提供を行うなど広告音楽の制作にも携わる。 FUJI ROCK FESTIVALをはじめとする様々な大型音楽イベントへ出演するほか、全国各地の屋内/外にて精力的なパフォーマンスを行う。 |
環ROY 『ラッキー』[2013年4月3日]
【HMVオンライン限定特典】 環ROY直筆サイン入りジャケット
※こちらの特典は店舗ではお付けしておりません。※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず、商品ページにて特典の有無をご確認下さい。
『ラッキー』収録楽曲
- 01. ワンダフル [track:三浦康嗣(□□□)]
- 02. Kids [track:三浦康嗣(□□□)]
- 03. そうそうきょく [track:蓮沼執太]
- 04. 台風 [track:Himuro Yoshiteru]
- 05. Little thing [track:戸高賢史(ART-SCHOOL)]
- 06. VIEWER [track:Himuro Yoshiteru]
- 07. 電車 [track:ゴンドウトモヒコ]
- 08. いいやつ [track:ゴンドウトモヒコ]
- 09. date [track:ゴンドウトモヒコ]
- 10. 仲間 [track:蓮沼執太]
- 11. いまここ [track:三浦康嗣(□□□)]
- 12. YES [track:蓮沼執太]
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