HMVインタビュー: PLUG

Friday, December 2nd 2011

interview

PLUG

様々な名義を使い分け、独自のサウンドを展開してきたルーク・ヴァイバートのドラム&ベース・プロジェクト名義=Plug 15年ぶりの最新アルバム!?のリリースを記念してご本人にインタビュー!

そもそも僕は流行の音というのが好きではないんだ。新しいサウンドやエフェクトよりも、古典的なサウンドを使う方が好きなんだ。


--- “Date: 1995-1998”、“Title: Plug”と書かれたDATテープはどこで発見されたんですか?

Luke Vibert: 実際のところ、色々なDATテープが幾つかあったんだ。当時、沢山曲を作っていたから。今では、ずっと限られた時間の中で多くの曲を作っているけどね。当時、キャティ(妻)と出会う前は、時間は有り余るほどあった。キャティと出会ったのは97年の終わりご頃で、98年には彼女は僕の家に引っ越してきた。2000年には一番目の子供が生まれて、それからは(音楽を作れる)時間が段々少なくなってきた。それ以前は一日中、曲を作っていたんだよ。その時作った音楽がDATテープに残っていたんだ。95年から98年に作ったものだよ。それをパソコンに取り込んで、その中から特に気に入ったものを50曲くらい選んで<Ninja Tune>に渡したんだ。「どの曲をアルバムにしたら良いのか自分ではよく分からないから選んでくれ」と伝えてね。(笑)

--- 貴方自身も忘れていた(聴いたことない)作品と聴きましたが本当ですか?

Luke Vibert: アルバムという作品になったのは今回が初めてだから、一つのアルバムとして、最初から最後まで通して聴くというのは僕も初めてだったよ。だから、そういった意味では「僕自身も聴いたことがない」というのは本当だよ。アルバムに載る曲や、曲の順番を決めたのは僕じゃないから、レーベルからセレクトされた曲が送られてきて、初めて作品として聴いてみた時は、なかなか良い感じがしたよ。「へぇーこんな感じだ、なるほどー」ってね。(笑)

--- では聴いたことがないというのは「アルバムとして」という意味なんですね。曲自体は全て覚えているということでしょうか?

Luke Vibert: 覚えているのもあるけれど、忘れていた曲もあったよ。曲を聴いて「これは本当に僕が作ったのか?」と思うようなものもあった。でも、今回自分が選んだ曲は自分でもよく覚えているものばかりだよ。でも、サンプリングで使ったネタはあまり覚えていなかった。レーベルの人に「これは何をサンプリングしたんだ?」と聞かれても「忘れた」としか答えられなかった。(笑)

--- こんなに素敵な作品だったのに…長い間眠っていたなんて、もったいなかったですね(笑)

Luke Vibert: <Ninja Tune>に行った時に「PLUGで何かないかな」と言われたから、ちょうど今回の未発表の曲をリリースすることになったんだ。ただ単にラッキーだったんだと思うよ。自分では決してリリースしようと思わなかったからね。作った曲を忘れてしまっていたわけではないけれど、とにかくものすごく昔に作ったものだから、リリースするにはタイミングが遅すぎるし「もういいかな」と思っていた。でも<Ninja Tune>は「そんなことはないよ、今のタイミングでリリースするのが良い!」と言ってくれたんだよ。

--- 当時どんな環境で制作したか覚えている?

Luke Vibert: ああ。とにかく自分一人で、毎日、制作していたね。たまに友達の家に行ってパーティーしたりもしていたけど、基本的には僕一人で一日中、一晩中、音楽を作っていたよ。自分のスタジオで狂ったように音楽を作っていたよ。(笑)

--- 『Back On Time』を作成した時の貴方を取り巻く環境を覚えて下さい。

Luke Vibert: 今とほとんど変わらないよ。ただ、当時はAphex Twin(以下:Aphex)と僕は近いところに住んでいたから、今よりも頻繁にAphexに会っていた。90年代中頃から90年代終わりの頃だね。Aphexは、古い銀行を改装したビルを持っていて、僕はそのすぐ近くに住んでいたから、友達たちとよく遊びに行っていたんだ。

--- それはコーンウォルでのこと?

Luke Vibert: いいや、ロンドンだよ。Aphexは閉鎖された古い銀行だったビルをロンドンで買って住んでいた。何フロアもある彼の家に皆でよく遊びに行っていたんだ。でも次第に皆他へ引っ越したり、子供ができたりして、バラバラになっていった。今では皆変わってしまった。
95年、、、、まだ僕は23歳だったから、今よりずっと若かったよ。(笑)

--- Aphexと一緒にいたり、音楽を作っていたようですが外でプレイするということもあったんですか?

Luke Vibert: うん、外でプレイすることもあったけど、音楽を作る時間の方がずっと多かったね。

--- 音楽をよく作っていたのですね。

Luke Vibert: そうだね、一晩中音楽作りをしていた。そして日中、何時間か寝て、起きてからまた音楽を作っていた。当時はテクノロジーの面でも今とは全然違う時代だったからね。何かをやり始めたら、その曲が完成するまで、他の曲作りを始めるという事ができなかった。色々なディスクを扱いながら、サンプルのタイミングを見たりしなければいけなかったから、機材の電源を切るということさえできなかった。そんなことをしたら、曲が消えてしまうからね。(笑)
セーブすることもできなかったんだ。だからこそ、その瞬間ごとに集中して音楽を作ることができたんだと思う。今では、曲を少し作ったらセーブして、他の曲に取り掛かったりできるけど、以前は本気で一つの曲に取り掛からなければいけなかったから状況が違っていた。今では、以前していたように音楽に没頭する時間がなくなってしまった。当時作っていた曲には、本当に色々な細かい要素が入っている。一睡もしないで3日間かけて作り上げた曲もあった。今ではそんなことできないよ。時間が足りないんだ。

--- 当時のドラムン・ベースシーンを体感していない若い世代にはとてもフレッシュ(新鮮)に聴こえるのではないかと思います。貴方はどう思いますか?

Luke Vibert: 確かにそうかもしれないね。僕のサウンドは、最近若い世代に受け入れられ始めているような感じがする。5年くらい前までは、僕の音楽は「90年代っぽい、古い感じがする」と多くの人に言われていたんだ。僕は今でも変わらず同じ感じの音楽を作っているけど、最近ではそれに対して「フレッシュに聴こえる」と言ってくれる。最近は皆、デジタルで、クレイジーなベースラインの新しい音楽というものを大量に聴いているから、昔の、今とは違う、古風な音楽が耳に心地よく聴こえるんじゃないかな。

--- 古風なというのは…

Luke Vibert: つまり、流行の音が使われていない音楽、ということだよ。そもそも僕は流行の音というのが好きではないんだ。新しいサウンドやエフェクトよりも、古典的なサウンドを使う方が好きなんだ。古風でシンプルな音がいいんだ。「それらを色々組み合わせて、また違ったサウンドを作る」と、僕は思っているんだ。

--- 当時のUKドラムンベース・シーンにはLTJブケム、ジンク、ロニサイズ、ゴールディー等がいたと思いますが彼らの事はどう思っていましたか?

Luke Vibert: 素晴らしい人達だよ!皆大好きだ。僕は彼らの音楽を好きでないだろう、とよく人に思われていたみたいなんだけど、実は大好きだった。だから当時僕がクラブでプレイする時はよく彼らの音楽をプレイしていたんだ。僕自身はPLUGの音楽をクラブでかけるのはあまり好きじゃなかったから、PLUGの音楽よりも彼らの音楽をたくさんかけていた。だから、「なぜゴールディーやLTJブケムたちと同じような曲をかけるんだ?」と聞かれることもよくあったよ。だから「クラブではこういう音楽がすごく良く聴こえるから」と答えたよ。

--- 最近ビョークや、アンダーワールドがドラムン・ベースのテイストを取り入れるなど、メジャーなシーンでもドラムン・ベースがまた盛り上がりを見せているようですが貴方もそう感じますか?

Luke Vibert: 正直なところ分からないな。僕は実際、その反対かと思っていたよ。皆関心を持っていないのかと思っていたよ。昔はフライヤーを見てもドラムン・ベースが本当に沢山あった。今では、ダブステップやガラージ、ハウスやテクノがメインでドラムン・ベースはあんまり見ない。でも、もしかしたらこれからまた盛り上がるのかもしれないね。だけど、あの時のようなドラムン・ベースはもうなくなってしまって、今のドラムン・ベースは以前のサウンドとは全く違うものになっていると思うんだ。同じドラムン・ベースとは思えないほどだ。ファンクの要素がまったく感じられない。ファンキーと言われているドラムン・ベースも、違う感じのファンクなんだ。もっと軍隊っぽいというか、アーミー・ファンクというか、とてもハードなサウンドなんだ。軽いタッチが全くなくてヘビーな感じばかりする。ドラムン・ベースも年月を経てかなり変わってきてしまった。

--- PLUGの新譜の可能性は?

Luke Vibert: 新譜はないと思うよ。絶対ないとは言い切れないけど。僕はPLUGとは違った人間になってしまった。昔の学生服を着てみるようなもので、PLUGはずっと昔の出来事なんだ。テクノロジーも今では全く変わってしまったしね。

--- 今後チャレンジしたい事、予定を聞かせて下さい。

Luke Vibert: 今は特にないかな。新しい感じの曲を作ったりするけど、予定を立ててやっているわけじゃない。自然にそういう音ができるんだ。だから予定は特にないよ。音楽を作る時間さえあれば僕は満足さ。「2時間空いたから音楽を作ろう!」くらいの予定しかないよ(笑)。

--- 簡単にメッセージを。。。。

Luke Vibert: そうだな〜(笑)
ハロー。ありがとう。お元気ですか?僕は元気です!(笑)
インタビューを読んでくれて本当にありがとう。

新譜Plug / Back On Time
ワゴンクライスト名義での新作リリースも記憶に新しい、ルーク・ヴァイバートによる伝説のドラム&ベース・プロジェクト=プラグの1995年〜1998年のレア音源が発掘→初CD化!今聴くと逆に新鮮(?)な、キレッキレのD&Bサウンド全開!





    【関連作品】

    • Toomorrow
      Wagon Christ
    • 2011年2月26日発売

    • YosepH
      Luke Vibert
    • 2011年2月16日発売(リイシュー)


    • Moog Acid
      Jean Jacques Perrey / Luke Vibert
    • 2011年2月16日発売(リイシュー)

profile

Plug (プラグ)

様々な名義を使い分け90年代以降の主要テクノ/クラブ・レーベルから多くの作品をリリースしているルーク・ヴァイバート。プラグ名義ではドラムンベースの作品をコンスタントに発売していた。96年<Warp>、<R&S>と並び称される伝説のUKテクノレーベル<Rising High>の傘下<Blue Angel Records>がプラグの名義で発表した『Drum 'N' Bass for Papa』は当時、特定の型にはまっていたドラムンベース界の壁を打ち破り新しい風を吹き込んだとして注目を集めた。本作『Back On Time』15年前の作品をルーク自身が発見した、まさに奇跡の音源と言える。「失われた名作」として発見されたにも関わらず、その完成度の高さは、聴く者すべてに新鮮な感覚を与える。ビョークや、アンダーワールドがドラムンベースのテイストを作品に取り入れるなど、近年再び注目を集めているドラムンベース。『Back On Time』はその魅力と進化の過程を解き明かす歴史的重要作品となるであろう。

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