大塚広子『赤盤』『青盤』DJ Mix解説

Thursday, November 24th 2011

20世紀末に登場して以来、常にジャズ・ファンの熱い視線を集めてきたサムシンエルス＆ディウ・レーベルの名曲をDJ 大塚広子がMix。ハードコアなジャズを愛する彼女がレコメンドする伝説のレーベルの新しい魅力に注目！

大塚広子による Mix解説

『Pieces Of Somethin'else Mixed By Hiroko Otsuka』

【somethin’else】
ブルーノートの姉妹レーベルとして、1988年に日本で発足したEMIのジャズ・レーベル。新人の発掘と育成をポリシーの一つとにしてゴンサロ・ルバルカバ、大西順子など次々に新しいアーティストを世に送り出した。一方、ロン・カーター、ジャック・デジョネット、寺井尚子など内外の有名アーティストのアルバムも多数リリースしている。

ライナーにも書きましたが、カッコイイ曲が多すぎる・・。選び込んだ曲はどれも一曲としての完成度がすばらしく、ミックスポイントを決めるのが大変でした。
本当は最後まで聴いてほしい、でもこの曲あの曲も聴いてほしいし・・と。中でも最後まで迷ったのが、ラルフ・ピーターソン。アート・ブレイキーや、オーネット・コールマンを意識したアルバムなど数タイトルあるなかでどれも力強い曲が多く、新たな発見がありました。でもいさぎよく、初作のアルバムの１曲目をおなじく今回のトップにする！という決意で、一気に気持ちがふっきれた気がします。
2曲目は序章的に使用し、3～5曲目はリズムを意識した比較的ファンキーな流れ、6～8曲目で、スピリチュアルな雰囲気に変化させました。
その後は90年前後を代表する当時多彩なアーティスト、ジャズ界巨匠の当時のフレッシュな演奏などヴォーカル曲も組み込みながら、リラックスできるメロディアスな流れ～最後は会場が沸くライブ録音でまとめ、華やかなフィナーレを演出しました。
当時のジャズに出会って魅了された方には再び新鮮な感動を。そして従来のレア・グルーヴ以降のジャズもカッコイイ！と再発見できるような、新たな価値観を提示できたらと思います。

『Pieces Of Somethin'else Mixed By Hiroko Otsuka』収録曲

01. エネミー・ウイズィン / ラルフ・ピーターソン
02. シエト・オチョ / ボブ・ベルデン・ウィズ・ティム・ヘイゲンズ
03. バティスタズ・グルーヴ / ジェリ・アレン
04. アス・スリー / 大西順子～日野元彦トリオ
05. スライスド・ワイルド・ポテト / 日野皓正・菊地雅章クインテット
06. ザ・クライ / ジョージ・アダムス
07. トライブ / 日野皓正
08. パースペクティヴ / 多田誠司
09. ニュー・ブーツ・フォー・ブルックス / ヒュー・ロウソン
10. モンクス・プラム / ジャック・デジョネット
11. マン・フロム・タンガニーカ / カート・エリング
12. ライツ・オブ・パッセージ / ジャッキー・マクリーン
13. マザー・ウィット / ジェリ・アレン
14. サンバ・デュボワ / フィル・ウッズ
15. 恋とは何でしょう / ラシェル・フェレル
16. ノー・ネイム / ゴンサロ・ルバルカバ
17. ザ・ジャングラー / 大西順子
18. コンサヴェイション / スーパーブルー

『Pieces Of Diw Mixed By Hiroko Otsuka』

【DIW】
世界のジャズ・レコードの紹介を目的として雑誌"ディスク・イン・ザ・ワールド"を作ったことをきっかけに、海外の作品を配給するためのレーベルとして同名の頭文字を取ってスタートしたDIW(ディウ)。現在は数々のオリジナル録音を加え、世界中のファンから熱い支持をうけている。

2010年にリリースした「The　Pieces Of TRIO　Records」ではフリージャズの作品をメインとなるPiece（破片）として、アクセントにしていたのですが、今回もこの流れを意識したミックスになったと思います。（結果的にそうなってしまったというのが正しいですが）
アート・アンサンブル・オブ・シカゴのミニマルな楽曲は、クラブ・ミュージック（たとえばテクノ）と同じように聴けたり、レスターボウイの曲も、近年のクラブ・ヒット、ヒプノティック・ブラス・アンサンブルと同じようなブラス・ファンクをすでに演奏していたりと、それぞれの破片としてわたしのプレイ・スタイルにぴったりでした。しかも、この曲がアナログで70年代の作品だったら人気なんだろうな～、というようなスピリチュアルな曲もあり、目からうろこでした。そういったリスニング・タイプの曲は後半にじっくり入れ込み、自分自身も感情移入できる、作りこんだ作品になりました。
なにかある！と感じていたDIWレーベルは、やっぱり想像以上に多彩な作風で、ブラック・ロック、ピップホップ、フリー・ジャズ、スタンダードなピアノ・トリオ、JBカヴァーのジャズ・ファンク、・・・90年のミクスチャー感覚が全部作品となってリリースされていた感触でした。
それぞれのジャンルにあわせた、DIWコンピレーションもあったら面白いだろうなと思います。

『Pieces Of Diw Mixed By Hiroko Otsuka』収録曲

01. ビルディング・ザ・ミッド / アート・アンサンブル・オブ・シカゴ
02. ザ・ビギニング / アート・アンサンブル・オブ・シカゴ
03. アストロ・ブラック / サン･ラ･アーケストラ
04. ラヴァーズ･クール･アウト / ジャン･ポール･ブレリー & ザ･ブルーウェイヴ･バンディッツ
05. スライ / ジャマラディーン･タクマ
06. クワージ / レスター･ボウイ･ブラス･ファンタジー
07. ラ・ヴィー（ザ・ジャズ・ライフ） / デイヴィッド・マレイ・オクテット
08. ゾンビ / アート・アンサンブル・オブ・シカゴ
09. ザ･モーロックス / ベルリン･コンテンポラリー･ジャズ･オーケストラ
10. クシュ / アート･アンサンブル･オブ･シカゴ
11. エクスチェンジ / 森山威男カルテット
12. マンハッタン･サファリ / リチャード･デイヴィス，ローランド･ハナ，フレデリック･ウェイツ
13. マンデラズ･ミューズ / ロドニー･ウィテカー
14. アフロ・ロジック / アイボボ
15. バヒージ / ヴィンセント･チャンシー
16. アトランティス / マイケル･ワイス･カルテット
17. エクイポイズ / スタンリー･カウエル･トリオ
18. ワン･ブライト･モーニング / エム･ベース･コレクティヴ
19. 大竜巻の尻尾 / チャーリー･ヘイデン･リベレイション･ミュージック･オーケストラ
20. レイヴン･ロック / シャノン･ジャクソン & ザ･ディコーディング･ソサエティ

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※店舗ではお付けしておりません。
※特典の有無は各商品ページにてご確認ください。

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