実力派美人ジャズシンガー紗野葉子のセカンドアルバム。じっくり聴かせるバラード集だが、バラードであるからこそ、彼女の歌唱力が光る。日本のジャズヴォーカリストのなかで、音程と発音がここまでしっかりしている人がいるのか疑問だ。テナーの巨匠スコット・ハミルトンやピアニストのジョン・バンチ、ノーマン・シモンズとの共演もジャズファンにとっては垂涎ものだか、なんと言っても圧巻なのは、ごまかしのできなスタジオライブでの一発録音とのことで、一体感が真髄とも言えるジャズの醍醐味を充分に発揮した傑作と言える。

アメリカ西海岸を代表するビッグバンド「フランク・キャップ・ジャガー・ノート」をバックに堂々と歌う日本人ジャズヴォーカリスト・・・ 英語の発音もしっかりとしているし、バラードの感情表現も歌唱力も素晴らしい・・・一人の日本人ジャズファンとして胸が熱くなるものがあった。しかもライナーノーツによると、コンサートホールでの一発録音であるというから驚きだ。 紗野葉子は、このアルバムがファーストアルバムということだが、2000年度の日本ジャズヴォーカル賞新人賞を受賞している桐朋音大声楽科出身の実力派ヴォーカリストである。