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Sym.10: K.sanderling / French National.o (1978)

Shostakovich, Dmitri (1906-1975)

User Review :5.0
(5)

Item Details

Genre
:
Catalogue Number
:
V4973
Number of Discs
:
1
Label
:
Format
:
CD

Product Description

―ラジオ・フランス・ライヴ・シリーズ―
恐ろしいほどの大スケール!
最後の巨匠クルト・ザンデルリング新譜
良好な音質で聴くショスタコーヴィチの醍醐味!

ザンデルリングのショスタコーヴィチ第10番といえば、1977年2月にレコーディングされたベルリン交響楽団との演奏がすでに有名ですが、今回登場するフランス国立管弦楽団との演奏は、その翌年、1978年の1月8日にパリのシャンゼリゼ劇場でおこなわれたコンサートのライヴ収録となります。

 実演ということもあってか、基本解釈は同一ながらもテンポ設定は若干速めになっており、トータルでは演奏時間が3分弱短くなっています。

 放送局提供音源によるため、音質は非常に良好で、たとえば第1楽章でのドラやシンバル、第2楽章でのスネア・ドラムといった刺激的な音も含め、この作品ならではのワイド・レンジかつ多彩なサウンドを存分に楽しませてくれます。

 ショスタコーヴィチの交響曲第10番は、今から半世紀前の1953年、スターリンの死とともに作曲され、同年12月17日、ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルにより初演されました。

 当時レニングラード・フィルの第2指揮者を務めていたザンデルリングは、当然この初演にたずさわった制作スタッフのひとりでもありますし、スターリンとその影響について描いたとされるこの作品の真意と数々の仕掛けを知る貴重な証人でもあります。

 そうした背景もあってか、ザンデルリングの解釈は説得力満点。といってもそれはムラヴィンスキーのような鬼気迫るタイプのものではなく、悠然とした巨大な造型の中に、目いっぱいディテールを彫りこんでいくというもので、ドラマティックで息の長い音楽の移ろいの表現にかけては、数ある10番のディスクの中でも最高の水準に達しているといえるでしょう。
 そうした重層的な音楽の表現に、フランス国立管弦楽団ならではのクリアーなサウンドの貢献は大きく、少々暗く重圧的だったベルリン響盤に較べ、ここではサウンドの多彩さゆえの膨大な情報量が独特の魅力を放っていて実に見事。

 それはたとえば「ひたすら深刻」といった状態から開放された豊かな表情がつくりだす多彩な情報の錯綜と相克、結果としてのカリカチュア的な性格表現をより強く意識させるものとでもいえるでしょうか。

 もちろん、ザンデルリングのことですから、低弦の強い重心の低い音響構築はいつもながらで、第1楽章では巨大なアーチのような造型を築きあげることに成功しています。
 また、音楽の情報量の豊かさも、優れたマーラー指揮者だったザンデルリングならではの着眼点を感じさせるもので、第2楽章ではファゴットの独特の存在感が作品の重層的な性格を浮き彫りにしていて秀逸ですし、第3楽章でも諸々の動機の浮沈を巧みにコントロールして壮絶なだけでないクライマックスを形成、第4楽章では救済されるんだかされないんだかわからないパロディ的な性格をもきちんと見据えた重みのある演奏が深みを感じさせてくれます。

 ショスタコーヴィチ・ファンには見逃せないアルバムの登場といえるでしょう。




■ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 Op.93
 クルト・ザンデルリング指揮フランス国立管弦楽団
 1978年1月8日、パリ、シャンゼリゼ劇場でのライヴ・レコーディング

第1楽章 24:01 第2楽章 04:21 第2楽章 11:49 第4楽章 12:17 計 52:28

ちなみに、ベルリン交響楽団盤のタイミングは以下の通りです(表記値)。
第1楽章 24:20 第2楽章 04:36 第3楽章 12:39 第4楽章 13:42 計 55:17

Track List   

  • 01. 第1楽章:モデラート
  • 02. 第2楽章:アレグロ
  • 03. 第3楽章:アレグレット
  • 04. 第4楽章:アンダンテ-アレグロ

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Comprehensive Evaluation

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1回の修正無しのライブ録音で、咳がけっこ...

投稿日:2010/09/20 (月)

1回の修正無しのライブ録音で、咳がけっこう耳につくが、演奏は最高。正直、この曲はムラヴィンスキーでも聴くのが苦痛でしかなかった。が、この演奏は、曲想ががらりと変わる部分での表情付けが大変うまく、少しはこの曲がわかった気がした。曲想の変化の激しさではマーラーの第5に通じるものがある。作曲家がマーラー好きだったのがよくわかる。それにしてもフランスのオケがロシアのオケに変身したようだ。いかに指揮者の力が大きいか思い知らされた。

影の王子 さん | 大阪府 | 不明

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素晴らしい。聴きこむほどに良さがわかりま...

投稿日:2004/06/25 (金)

素晴らしい。聴きこむほどに良さがわかります。最初はタムドラムの音が物足りないかもしれないが、それはじきに解消される。カラヤン/BPO版と並んで推薦したい一枚です。

arabandaluz さん | 山梨 | 不明

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ドイツ的重厚さ、と表現されるベルリン響盤...

投稿日:2004/03/22 (月)

ドイツ的重厚さ、と表現されるベルリン響盤(スタジオ録音)とは驚くほど違う。特に、同じ時期の録音なのに終楽章は明らかにこちらの方が速く、だんだん勢いを増してゆき弾丸のように終結する。これぞライブの醍醐味、指揮者とオケが一体となった瞬間だ。数あるこの曲の中でもムラヴィン、ヤルヴィと並び3本の指に含めたい。

アントン・ミントン さん | 八戸市 | 不明

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