ロック系のＨＭＶのレヴュー選者にＢ級グルメ好き担当者が居るので、独断没の餌食にならないようにまあこれなら害もないからどうだろうと、一票。フュージョン参加盤は有名ですがここでは伝統的なスパニッシュを尊重しつつ、閃きの華をすばやく添える名手です。この手堅いところも一聴を。乾いたオトが誠に心地良い。それほど価格の張らない装置でもＯＫなのも楽。

洗練されたサウンド、都会的なセンスと土俗性の融合。パコは秘術を尽くしてギターをかきならし、そして出てくる音楽はピュアでナチュラル、軽やかにステップを踏んでいる。スペイン・ローカルのフラメンコ音楽が、芸術にまで昇華された一枚。

ユカタン半島でのリラックスしたパコの口から出てくる言葉の謙虚さ。チック・コリアとの共演シーンでの少年のような表情などを見ると、神格視されるパコが、いまでも一人の真摯な音楽家であることがわかる。スーパー・ギタートリオでの映像は必見。アランフェス協奏曲の映像も全曲収められている充実の二枚組だ。