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ヴィヨンの妻

Osamu Dazai

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784041099117
ISBN 10 : 4041099110
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2009
Japan

Product Description

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Content Description

傷つきやすい心をごまかすように、金も無いのに飲んだくれる詩人の動静を、妻が奇妙な明るさで語る「ヴィヨンの妻」、戦後第1作として書かれた、風変わりな結核療養所で闘病生活を送る少年を描く「パンドラの匣」、13回分の連載で中絶した未完の絶筆「グッド・バイ」、戦後の虚無的な精神状態を“音”で表現した「トカトントン」、飲み屋で出会った少女の哀しさを描く「眉山」の5篇を収録。最晩年の傑作集。

【著者紹介】
太宰治 : 1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事するもやがて転向、本格的な執筆活動へ。35年(昭和10年)、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃からパビナール中毒に悩む。39年、井伏鱒二の紹介で、石原美知子と結婚。平穏な生活を得て、「富嶽百景」「女生徒」「走れメロス」などの多くの佳作を執筆。戦後、『斜陽』でベストセラー作家となるが、「人間失格」を発表した48年、「グッド・バイ」連載中の6月13日夜半に山崎富栄と玉川上水で入水し、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • Shoji

    終戦直後の荒んだ世の中、這いつくばって生活していた時代である。物語を通して感じられる、酒と女と雑踏の臭い、しかもそれはすえた臭いだ。二つのことが印象に残った。一つは、動物的本能のような女のしたたかさ。もう一つは、「人間は死によって完成させられる」という文章である。生きるのに精いっぱいだった時代に、太宰は生を書きたかったのか死を書きたかったのか、まだ私の中でモヤモヤしている。

  • 東京湾

    「死と隣合わせに生活している人には、生死の問題よりも、一輪の花の微笑が身に沁みる」太宰治最晩年の傑作五篇。晩年の太宰治といえば「人間失格」の印象が強いが、破滅の美とは対極の、戦後に射す新時代の兆しに手を翳して生きる人間が、「パンドラの匣」をはじめ描かれている。病に臥せりながらも、療養所の暮らしと時代の展望を溌剌と語る青年の姿は、読んでいて胸がすく爽快さがあった。「トカトントン」は最後の返信がうまく落としている。「ヴィヨンの妻」は相変わらずの巧みな女性描写。「眉山」は哀愁が漂う。「グッド・バイ」は愉快だ。

  • 前から気になっていた1冊。「ヴィヨンの妻」以外は初読み。やっぱりどの作品も死が近い。死を中心に進んでいるのが太宰治の人生を表しているよう。「パンドラの匣」はある意味、学校のような場所での学校のような生活。人間は死によって完成するというけれど、恋をしたり運動をしたり、そんなことでも希望が生まれてくる。死による未完はこんなにも切ないんだなあ。年譜がさらに拍車をかける。小川洋子さんの解説は、太宰治自身を深く知る手がかりになった。

  • ω

    おや、持っている本のタイトルはグッド・バイですが何や? グッド・バイは未完であり評価が難しい。今のところ(?)ワクワク感がありますが、続きは伊坂先生にお任せで良かったかもしれませんね( ^ω^) 一番好きなのは「眉山」。太宰は女性を書くのがとても巧みだと思います。話し方、仕草。眉山も竹さんも、側にいたら好きになりそうだ。

  • さくりや

    表題作だけ再読。太宰で1番好きな作品。酒は呑むわ女と遊ぶわ金は盗むわで駄目クズな大谷の文面からも発散される色気が素敵ちょーかっこいい。運と機転で彼の尻拭いをして、現実逃避的にポジティブなさっちゃんとの対比が面白い。一文が長くて主語述語が変わっていく太宰独特の文体で物語の世界に入りやすくなっていると思う。終戦して間もない冬の寒さや闇酒の匂いが感じられるよう。

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