最新リマスターで蘇る、気品に満ちた北欧の魂、
巨匠ブロムシュテットが拓いた、ニールセン演奏の理想郷!
ヘルベルト・ブロムシュテットは、長いキャリアと「古き良き理想」に基づく音楽観で広く知られています。1927年に生まれた彼は、高齢となった現在もなお精力的に指揮活動を続けています。これまでにシュターツカペレ・ドレスデンやサンフランシスコ交響楽団など名門オーケストラで首席指揮者や音楽監督を歴任してきました。特筆すべきは、1967年から1977年までデンマーク国立交響楽団(デンマーク放送交響楽団)の首席指揮者を務め、その在任中に、高く評価されているこのニールセンの録音(交響曲だけでなく、管弦楽作品や協奏曲も)を残したことです。彼はドイツやオーストリアの作曲家に加え、スカンジナビア半島の作曲家の作品解釈でも高く評価されています。
ブロムシュテットの指揮スタイルは規律正しく気品があると評され、近年は指揮棒を使わず洗練された最小限のジェスチャーで音楽を形づくります。彼は、オーケストラに必要なのは「時間を刻む人」ではなく、音楽家との対話であると信じているからです。常に作品に新鮮な気持ちで向き合い、新たな細部を発見し続ける姿勢。その音楽づくりは優雅さと明晰さを引き出す力にあふれ、演奏者と協働して豊かなコミュニケーションを築く姿勢も高く評価されています。
デンマークの作曲家カール・ニールセンは、ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグより22歳年下で、フィンランドの天才ジャン・シベリウスとはほぼ同い年でした。彼の生まれ故郷はフュン島のオーデンセ近郊の小さな村ですが、オーデンセは世界的な児童文学作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの生誕地でもあります。彼の作品は、シベリウスのように祖国の文学や風景を直接的に映し出すことはありませんが、デンマークならではの雰囲気を湛えた音楽を生み出しました。そのスコアは明快で力強い論理性を備えており、ヨーロッパの他地域で盛んだった無調技法に頼ることなく、「発展的調性」という手法を用いました。今日、彼の名声は主に6つの交響曲に基づいていますが、この全集に収められたその他の作品からも分かるように、彼は多彩な音楽形式を巧みに操る作曲家でした。
※ワーナーミュージック・ジャパン取り扱い輸入盤のみ、日本語解説・帯付き。日本語解説には、ニールセン、ソビエト音楽研究学者であるデイヴィッド・ファニングによる作品解説の日本語訳、西村 祐氏によるリマスターと演奏についての解説を掲載。(輸入元情報)
【収録情報】
Disc1
ニールセン:
1. 交響曲第1番ト短調 Op.7, FS.16
2. 交響曲第2番ロ短調 Op.16, FS.29『4つの気質』
録音時期:1974年8月22,23日(1)、8月23-25日(2)
Disc2
1. 交響曲第3番ニ短調 Op.27, FS.60『ひろがりの交響曲』
2. 交響曲第4番 Op.29, FS.76『不滅』
キルステン・シュルツ(ソプラノ:1)
ペーター・ラスムッセン(バリトン:1)
録音時期:1973年9月7-10日(1)、1974年3月8,9日(2)
Disc3
1. 交響曲第5番 Op.50, FS.97
2. 交響曲第6番 FS.116『素朴な交響曲』
録音時期:1973年12月3,4日(1)、11月2-5日(2)
Disc4
1. 交響的狂詩曲 ヘ長調 FS.7
2. 序曲『ヘリオス』 Op.1, FS.32
3. サガの夢 Op.39, FS.46
4. アンダンテ・ラメントーソ『若き芸術家の棺の傍らで』 FS.58
5. 田園的情景『パンとシリンクス』 Op.49, FS.87
6. 狂詩曲風序曲『フェロー諸島への幻視旅行』 FS.123
7. ボヘミア=デンマーク民謡 FS.130
録音時期:1975年2月〜4月
Disc5
1. ヴァイオリン協奏曲 Op.33, FS.61
2. クラリネット協奏曲 Op.57, FS.129
3. フルート協奏曲 FS.119
アルヴェ・テレフセン(ヴァイオリン:1)
シェル=インゲ・ステヴェンソン(クラリネット:2)
イプ・ヤールコフ(スネアドラム:2)
フランツ・レムザー(フルート:3)
録音時期:1975年3月24-26日(1)、4月14-17日(2,3)
デンマーク国立交響楽団(デンマーク放送交響楽団)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)
録音場所:コペンハーゲン、デンマーク放送局コンサート・ホール
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO
使用音源:オリジナル・マスターテープより、2025年、パリ「Studio Circe」によるリマスター
限定盤、マルチケース(プラケース仕様)
ワーナーミュージック・ジャパン取り扱い輸入盤のみ、日本語解説・帯付き(輸入元情報)
【音楽評論家、西村 祐氏による新リマスターへのコメント】
「今回のリマスターは、元音源の特質を引き出しつつ力感も加わり、聴き応えがある。くすみやざらつきのある個性的な音色が特徴で、旧来の音源では各パートが独立し、まとまりきらない印象があった。しかし、リマスターで倍音と響きが豊かになった結果、ニールセンの複雑なオーケストレーションの綾が聴き取れると同時に、全体がまとまって鳴り響くクライマックスの雄大さも際立っている。ブロムシュテットのニールセン解釈は、有名なサンフランシスコ響盤(クリアで北欧的)や最近の録音とも大きな違いはない。しかし、リマスター前の音源では弦主体でアンサンブルが少し緩やかな点に特徴がある。今回ではその代わりに、音には豊かな広がりと温かさ、にじむような美しい色彩感覚があり、ブロムシュテットはその柔軟さで広大な空間性を作り上げることに成功している。」(輸入元情報)