ジャズという音楽を飛び越え、レオン･トーマスというジャンルを創造した偉大な歌手。 誰も追随できない、ジャズ界のロキシー・ミュージック的な存在。 アフリカ音楽の雄叫び、ファンクサウンドに乗せたパワー･ファイター的歌唱、バラードでの憂いを孕んだクルーニング歌唱、高速タンギングを極めた変態スキャット、たゆたうヴィブラートを効かせたオペラチックな歌唱、ゆったりとした浮遊感で空間を染め上げる低音ヴォイス・・・。 人類の歌の歴史を全て網羅するかのように様々な歌唱を繰り出す様に驚くばかり。 彼には、その並外れた声を通して伝えたいことがたくさんあったのだろう。 ジャンルを超えて地球最強の歌手だったことは疑いようが無い。 現代にこそ必要とされているはずの、本物の歌手なのではないか。 ヨーデルを繰り出す変わった歌手という、表面的な理解が払拭されることを願う。 その名を、もっと大きく知られてほしい。

レオン・トーマスはアフリカに期限を持つ、ファルセットを駆使したヨーデルの様な独特な唱法が有名。73年にはサンタナと組んで来日もしている。本作はベルリンでのライブ録音で共演のオリバーネルソンのサックスソロも秀逸。