『火焔太鼓』は2005年7月16日、『紙入れ』は2006年9月16日、いずれも有楽町朝日ホール、朝日名人会でのライブ録音。若い頃は新作派で売っていた歌丸さんだが年齢と経験を重ねてからは古典落語に精進し今や現代の名人と仰がれる存在となった。横浜生まれの「浜っ子」である歌丸さんはいわゆる古典落語独特の江戸ことばは多用しない。すっきりとして折り目正しい、美しい日本語で語ることをモットーとする歌丸さんの話芸は聴きやすく、古典落語を語っていてもそのセンスはモダンである。『笑点』にちなんだくすぐり（ギャグ）が出てくるのも楽しい。

DISC5の｢お熊の懺悔｣は円朝依頼１００数年ぶりの復活とのことで必聴です。DISC１〜DISC４は５代目円生師の演じ方をコンパクトに纏めた感じですが歌丸師独自の味には仕上がっていると思います。通しで聴くことの出来る現在の市販品の唯一ということで買って損なしです。