明日なんて見えない

デラウェア州のスラム街で育ったモナは、暴力、麻薬、窃盗、売春が蔓延する街にうんざりしていた。そんな彼女が、ラップのコンサートで偶然知り合ったのは、ニューヨークの大物麻薬ディーラーのキャム。彼女は高級マンションや最新ファッション、ベンツにジープ、ジャマイカへの旅行など夢のような生活を手にいれる。しかしキャムはやがて凶暴な一面を見せるようになり、ついにモナは彼の驚くべき過去を知ってしまう。キャムは母親が養父に殺されたことに怒り狂い、養父と異母兄弟３人を射殺していたのだった。またそれだけではなく、キャムの本名アレキサンダー・キングの秘密を知ったモナは、彼がいかに危険で情け容赦ない人物かを思い知る。そんな中、キャムの知り合いのラップ大物シンガーであり、前から憧れていたコントラバシーから電話番号のメモをもらう。モナは翌日早速彼の自宅を訪ねて、夢にまでみた彼とのセックスを楽しむが、彼の策略にはまり、複数の男たちとセックスしているのをビデオに撮られ、そのビデオが街中に出回ってしまった。それを知ったモナは命の危険を感じ、逃亡を試みる。キャムの１００万ドルをバッグに詰め込み、故郷のデラウェアに戻ろうとするが、激昂したキャムに追い詰められる。モナは初めて自らが招いた運命に気づいた。もはや逃げる場所もない、あの時に大学に行っていれば・・・、ママの魂が自分に宿っていることに気づいていれば・・・、犯した罪に直面していれば・・・、神を信じてさえいれば・・・モナはキャムの凶弾に倒れた。モナの葬式が開かれ、牧師が最後の言葉をかける。そこには、モナの棺を担ぐキャムの姿があった・・・。

【著者紹介】
カシャンバ・ウィリアムズ : 米スプリングフィールド大学を卒業し、福祉科学の学士号を取得。主に刑事裁判を学んだ。１９才を過ぎて、デイ・ケア・センターや病院、老人ホーム、デイ・キャンプ、リハビリ・センター、公立学校等で働くが満足できず、文章を書くことや青少年育成活動、矯正施設でのゲスト講演など幅広く活躍をしている。彼女の人生は多くの試練や苦難に満ちたものだったが、それに耐え抜き成功を収めた。ソルマッグ・リーダーズ・チョイス「２００３年度ベスト多文化自費出版賞」、デジゴールド・マガジン「２００４年度新人女性作家賞」を受賞。現在はデラウェア州に夫と子供たちと暮らす（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）