ジャケットがJean-Michel Jarre[Les Champs Magnetiques](1981)のオマージュであるように、80sシンセミュージックへの愛があふれる作風はこの人の持ち味です。単なる「ノリ」だけはなく音色の選び方、メロディの秀逸さ、こういったものに吟味する時間をちゃんとかけている印象があります。時折入るピアノやギター（これらはサンプリングなのかな）、パーカッションの音の利かせ方はサウンドクリエーターの方々にも参考になると思います。

このジャンルで世界一素晴らしいアーティストだと思います。作り出す「音」には雑味やトゲはなく、「鼓動」のようなリズムと「優しい光」に包まれています。決して情緒の垂れ流しの様な音楽は作らない。 もっとサイケデリックに、もっと音の情報量を増やして複雑に作り込める事も この人なら容易に出来ると思うけれど、あえて それはしない。 美しく、一つ一つに意味を持った「音」を絶妙に組み合わせ 見事なヨーロピアントランスに仕上げる才能と、技術力に脱帽せざるを得ない 素晴らしいアーティスト、素晴らしいアルバムです。 ダンスミュージックの中で唯一無二、こんなに幸福感を与えてくれるモノは ちょっとやそっとじゃ見つかりません。アルバムbehind the sun も含め、僕の中で最高の作品です。 ﾌﾟﾛｸﾞﾚｯｼﾌﾞﾊｳｽ、トランス等のジャンルをあまり聴いた事のない人にも間違いなくオススメ出来る、文句なしの素晴らしいアルバムです。

今作はいろんな風景が感じられる。1曲1曲尺が短い上に曲調が違うのでグルーブ感があんまりないせいかな。でも曲自体はよい。前2作はアルバム1枚垂れ流しで聴いてたけど、今作は好きな曲だけ選んで聴いてます。特にFar Away From Youが心地よくてお気に入り。