燻し銀の音色が響くライスター渾身の1枚
ブラームスとツェムリンスキーのクラリネット・トリオ決定盤
ブラームスの名曲のひとつ、クラリネット・トリオの誕生は、同時代に活躍していたクラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトの演奏にブラームスが触発されたことがきっかけとなりました。一方、ツェムリンスキーのクラリネット・トリオは、ブラームスの強い後押しによりジムロック社からの楽譜出版の道が開かれ、世に知られるきっかけとなりました。キング・オブ・クラリネット、カール・ライスターが、両者のクラリネット・トリオを、確かなテクニックと燻し銀のような音色でしっとりと聴かせます。両者の間に収められたシューマンの作品は、スペイン歌曲集からのトランスクリプション。
ピアニストのフェレンツ・ボーグナーとチェリスト、インケ・フランクとの息のあった演奏は、それぞれの作品の魅力とライスターの美しいクラリネットの音色を引き立たせるみごとなアンサンブルです。(カメラータ)
【収録情報】
・ブラームス:クラリネット三重奏曲イ短調 作品114
・シューマン:夜に〜スペイン歌曲集作品74より第4番
・ツェムリンスキー:クラリネット三重奏曲ニ短調 作品3
カール・ライスター(クラリネット)
フェレンツ・ボーグナー(ピアノ)
インケ・フランク(チェロ)
録音時期:2006年2月
録音場所:オーストリア
録音方式:デジタル(セッション)
【カール・ライスター(クラリネット)】
カール・ライスターはウィルヘルムスハーフェンに生まれ、最初の音楽のレッスンを、RIAS交響楽団のクラリネット奏者だった父から受けた。1953年から56年にかけてベルリン音楽大学で学び、1957年に19歳でベルリン・コーミッシェ・オーパーのソロ・クラリネット奏者となり、ヴァーツラフ・ノイマンやウォルター・フェルゼンシュタインの指揮のもとで演奏した。
1959年にヘルベルト・フォン・カラヤンの指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・クラリネット奏者に就任。その後、カラヤンと共に国内外で演奏した30年は、彼の人生にとって、最も意味と意義のある期間であった。同時に、ソリストや室内楽奏者としての活動も始める。室内楽で共演した演奏家には、アマデウス弦楽四重奏団、フェルメール弦楽四重奏団、ライプツィヒ弦楽四重奏団、ヴィルヘルム・ケンプ、ピエール・フルニエ、ギドン・クレーメル、リタ・シュトライヒ、キャスリーン・バトルの他に、ジェームズ・レヴァイン、リッカルド・ムーティ、ゲルハルト・オピッツ、クリストフ・エッシェンバッハ、ブルーノ・カニーノ、エレーナ・バシュキローヴァ、エリーザベト・レオンスカヤ、パウル・グルダ、シュテファン・ヴラダー、フェレンツ・ボーグナーなどがいる。さらに、ヘルベルト・フォン・カラヤン、カール・ベーム、小澤征爾、オイゲン・ヨッフム、ラファエル・クーベリック、アーロン・コープランド、サー・ネヴィル・マリナー、パーヴォ・ベルグルンド、フリューベック・デ・ブルゴス、ケント・ナガノの指揮のもとでソリストとして演奏している。カール・ライスターはベルリン・フィルハーモニー木管アンサンブル、ベルリン・ソロイスツ、アンサンブル・ウィーン=ベルリンの創立者の一人でもある。
ライスターは、ベルリン・フィルハーモニー・ヘルベルト・フォン・カラヤン・アカデミーの創設以来、将来の音楽家たちの教育に当たり、彼から教えを受けた生徒たちの多くが、現在、ドイツ国内や国際的オーケストラで重要な地位を得て活躍している。
またライスターは、国内外のコンクールで数多くの賞を受けており、さらにドイツ・グラモフォン、EMI、フィリップス、テルデック/ワーナー、オルフェオ、MDG、BIS、Nimbus、ソニー、カメラータ・トウキョウなどのレーベルにクラリネットのレパートリーのほぼ全てにわたる録音を残している。
1987年にはロンドン王立アカデミーの名誉会員および客員教授に任命され、また1993年から2002年にかけてベルリン・ハンス・アイスラー音楽大学の教授を務めた。(カメラータ)