B・ジャック・コープランド

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    Posted Date:2014/03/24

    チューリングは数理論理学の英才であり、その研究の一環として彼が考えた所謂チューリング・マシンはコンピュータの出発点でもあり”人工知能”へ向かう道でもあったし、第2次大戦中はドイツの暗号解読の理論面での中心人物でもあったうえに、若い頃は英国の大会で優勝するほど力のある長距離ランナーでもあった・・・・この興味深い人物の伝記をいつか読んでみたいと思っていたが我国にはなかなか良い伝記がない状態が続いている。 彼の研究者としての功績は早くから知られていたが、戦争の行方に大きな影響を与えた暗号解読の功績は長く”軍事機密”として秘せられその一端が公開されたのが1974年、ほぼ全容が公開されるのは2000年だった。彼は1952年当時英国では違法であった同性愛容疑で有罪を宣告されて”化学的去勢”を強制され、2年後42歳で青酸カリ中毒によって死去している。この国家的英雄への不当な仕打ちに対して英国政府が正式に謝罪したのが2009年だった。こうして1912年生まれの数理論理学者はほぼ百年に渡って”現在”と直接的に係わりを持っていたことになるし、”人工知能”の分野では今も所謂”チューリング・テスト”と言った概念で現役の理論的作業仮説を提供し続けているともいえる。 この、コープランドの本はそういうチューリングの伝記として期待して読んだが、期待は一部は満たされたが一部は満たされなかった。満たされたのは、何しろ我国では殆ど系統的な伝記が皆無だったチューリングの具体的な生涯について兎にも角にも(その一部を)知ることが出来た点。満たされなかったところは、チューリングについて”その一部”しか知れなかった・・・と言う点だった。それは必ずしもこの本の責任と言うわけでもない。本書は、チューリングの生涯に絡ませてコンピュータの(概念と具体的なマシンの)発生・発達史を概観し、その現代への影響についても考察する・・・と言う欲張った目標で書かれている(らしい)。それだけの内容を四六判400頁弱の本に収めるのは少し無理がある・・・とも言える。どの記述も少し中途半端の観が否めなく、その代わり”詳しく知りたい方は元資料をお読みください”・・・と言わんばかりに大量の参考資料がついている・・・・資料リストだけで60頁!。その意味で良心的に書かれた本とは言えるのだろうけれど、この本だけを読んでいる読者としては少々物足りなく思うところもある。 それでもこの本からも1930年代―50年代の英国と言う環境の中で主要な活動を行ったチューリングの魅力的な人物像とその時代背景を想像することは出来る。閉鎖的で寡黙・深遠な思索を通して対象の本質を捉え、革命的な目標に果敢に突き進む・・・と言う(ことを許す)ケンブリッジに代表される英国の研究・教育システムに育まれた英才と言う点で、量子力学におけるディラックと共通する雰囲気も感じられる。思索が深いにも係わらず(・・・と言えば、本人達は不満だろうが・・・)、成果が実用的・実利的である点でも両者は如何にも英国的でもあって、そこが米国などにおける学術研究とは一味も二味も違っている。そういう思索と現実の取り合わせの微妙なところが本書からも伝わってくる。 それはニュートン以来の英国の伝統とも言えるけれど、その同じ英国(社会)がチューリングに同性愛と言う罪を着せて不当な扱いをしたのは皮肉・・・と言のも余りにも厳しい現実でもある。尤も、本書によれば毒入りリンゴをかじって”自殺”した・・・と言うチューリングの死については、必ずしも根拠がある訳でも確定した結論が下されている訳でもなく、チューリング自身は不当な有罪判決後も”毅然として”それを受け入れ、最後まで”一生懸命仕事をし”、人生を”楽しんでいた”・・・そうなので、余りに感傷的にこの稀代の天才の死を語ることも控えるべきなのだろう・・・。 チューリングについてはA.ホッジスの有名な伝記(1983)があるが、残念ながら未だ翻訳はなされていない。今後、ホッジスの訳はもとより更に新たなチューリングの総括的伝記研究が行われることが表れることを期待している。

    yk .

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