B・ジャック・コープランド

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チューリング 情報時代のパイオニア

B・ジャック・コープランド

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784757103443
ISBN 10 : 4757103441
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
服部桂 ,  

Content Description

現代のコンピュータの基本モデルとなった「チューリング・マシン」を考案したイギリスの数学者アラン・チューリング(1912‐1954)。本書は、2012年に生誕100年を迎え、その生涯や業績への再評価が世界的に高まっている中、チューリング研究の第一人者であるコープランド教授が一般向けに書き下ろした話題の書である。チューリングの生涯は、対ナチ戦争を勝利に導いた暗号解読、ゲイとしての私生活、自殺説・他殺説・事故説が入り乱れるその死まで、多くの逸話にあふれ、小説や映画の素材にもなっている。チューリング理論の平易な解説を交えながら、ミステリーのように歴史の謎を解いていく、チューリング伝の決定版。

目次 : クリック、タップか、タッチしてオープン/ 万能チューリング・マシン/ アメリカ、数学、ヒトラー/ トン・ツーとエニグマが呼んでいる/ チューリングとUボートの戦い/ 一九四二年―アメリカへの帰還とヒトラーの新しい暗号/ コロッサス、デリラ、勝利/ 一カ月の仕事を一分でこなすACE/ マンチェスターの「電子頭脳」/ イミテーション・ゲーム―人工知能、人工生命/ 冷えた朝がゆ/ /終焉////

【著者紹介】
B・ジャック・コープランド : 1950年生まれ。オックスフォード大学で論理学を修める。現在、ニュージーランドのカンタベリー大学哲学教授。チューリング研究の世界的第一人者で、「コンピュータの歴史のためのチューリング・アーカイブ」を運営

服部桂 : 1951年生まれ。朝日新聞社ジャーナリスト学校シニア研究員。1987‐89年、MITメディアラボ客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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チューリングは数理論理学の英才であり、そ...

投稿日:2014/03/24 (月)

チューリングは数理論理学の英才であり、その研究の一環として彼が考えた所謂チューリング・マシンはコンピュータの出発点でもあり”人工知能”へ向かう道でもあったし、第2次大戦中はドイツの暗号解読の理論面での中心人物でもあったうえに、若い頃は英国の大会で優勝するほど力のある長距離ランナーでもあった・・・・この興味深い人物の伝記をいつか読んでみたいと思っていたが我国にはなかなか良い伝記がない状態が続いている。 彼の研究者としての功績は早くから知られていたが、戦争の行方に大きな影響を与えた暗号解読の功績は長く”軍事機密”として秘せられその一端が公開されたのが1974年、ほぼ全容が公開されるのは2000年だった。彼は1952年当時英国では違法であった同性愛容疑で有罪を宣告されて”化学的去勢”を強制され、2年後42歳で青酸カリ中毒によって死去している。この国家的英雄への不当な仕打ちに対して英国政府が正式に謝罪したのが2009年だった。こうして1912年生まれの数理論理学者はほぼ百年に渡って”現在”と直接的に係わりを持っていたことになるし、”人工知能”の分野では今も所謂”チューリング・テスト”と言った概念で現役の理論的作業仮説を提供し続けているともいえる。 この、コープランドの本はそういうチューリングの伝記として期待して読んだが、期待は一部は満たされたが一部は満たされなかった。満たされたのは、何しろ我国では殆ど系統的な伝記が皆無だったチューリングの具体的な生涯について兎にも角にも(その一部を)知ることが出来た点。満たされなかったところは、チューリングについて”その一部”しか知れなかった・・・と言う点だった。それは必ずしもこの本の責任と言うわけでもない。本書は、チューリングの生涯に絡ませてコンピュータの(概念と具体的なマシンの)発生・発達史を概観し、その現代への影響についても考察する・・・と言う欲張った目標で書かれている(らしい)。それだけの内容を四六判400頁弱の本に収めるのは少し無理がある・・・とも言える。どの記述も少し中途半端の観が否めなく、その代わり”詳しく知りたい方は元資料をお読みください”・・・と言わんばかりに大量の参考資料がついている・・・・資料リストだけで60頁!。その意味で良心的に書かれた本とは言えるのだろうけれど、この本だけを読んでいる読者としては少々物足りなく思うところもある。 それでもこの本からも1930年代―50年代の英国と言う環境の中で主要な活動を行ったチューリングの魅力的な人物像とその時代背景を想像することは出来る。閉鎖的で寡黙・深遠な思索を通して対象の本質を捉え、革命的な目標に果敢に突き進む・・・と言う(ことを許す)ケンブリッジに代表される英国の研究・教育システムに育まれた英才と言う点で、量子力学におけるディラックと共通する雰囲気も感じられる。思索が深いにも係わらず(・・・と言えば、本人達は不満だろうが・・・)、成果が実用的・実利的である点でも両者は如何にも英国的でもあって、そこが米国などにおける学術研究とは一味も二味も違っている。そういう思索と現実の取り合わせの微妙なところが本書からも伝わってくる。 それはニュートン以来の英国の伝統とも言えるけれど、その同じ英国(社会)がチューリングに同性愛と言う罪を着せて不当な扱いをしたのは皮肉・・・と言のも余りにも厳しい現実でもある。尤も、本書によれば毒入りリンゴをかじって”自殺”した・・・と言うチューリングの死については、必ずしも根拠がある訳でも確定した結論が下されている訳でもなく、チューリング自身は不当な有罪判決後も”毅然として”それを受け入れ、最後まで”一生懸命仕事をし”、人生を”楽しんでいた”・・・そうなので、余りに感傷的にこの稀代の天才の死を語ることも控えるべきなのだろう・・・。 チューリングについてはA.ホッジスの有名な伝記(1983)があるが、残念ながら未だ翻訳はなされていない。今後、ホッジスの訳はもとより更に新たなチューリングの総括的伝記研究が行われることが表れることを期待している。

yk さん | 京都府 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • mae.dat

    晩年の扱いが酷すぎる(´•ω•̥`)。勝手だけど、エニグマ解読に関わらなければ別の道もあったのかもと。 個人的にはノイマン博士とチューリング博士が同時代に生きて、チューリング博士の方が年下って驚いた。 なんとなくチューリング博士の方が先時代の方だと思ってた。チューリングマシーン→ノイマン型コンピュータの順だと思い込んで居たからだと思う。 50ポンド札の肖像。なんかおめでとうございます! あと、お待たせしました。ディープラーニングによって、チューリングテストパスしました(しそうです)。次の出題お願いします!

  • Roko

    チューリングは第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマの解読に成功し、それによって第二次世界大戦の終結が早まったと言われています。この本に書かれていた「チューリングが暗号を解読していなかったら、ベルリンに原子爆弾が投下されただろう」という言葉に驚きました。もしそんなことになっていたら、世界は大きく変わっていたでしょう。もしかしたら、その段階で日本は降参して、原子爆弾を落とされることはなかったのかもしれません。

  • かんやん

    駆け足で辿るコンピュータの歴史。そう、それはイギリスで生まれたのだが、軍事機密として公開されなかったのだ。チューリングは論文「計算可能な数について」で、マシン(スキャナが紙テープを読み取る)による計算を構想し、マシンに計算不可能な問題があることを証明し、ゲーデルの不完全性定理を更に押し進めた(πは計算可能)。このチューリングマシンがコンピュータの礎とされる。戦時中、暗号解読のために組み立てたボンブこそが最初の電子計算機である。また、彼は最初にプログラムを書いた人でもある。マシンの発する電子音でメロディ→

  • Bartleby

    エニグマなどの暗号機の仕組みも詳しく書いてあってチューリングたちがいかにそれを解読したか、そのプロセスまでわかる。解読に際して、人間的なミスが恰好のヒントになった。暗号から浮かび上がるヒトラーの非情さにゾッとさせられた。一方で、ナチスの船を移乗攻撃し、暗号機やそれにまつわる書類を強奪するといったことも行われたようだ。アメリカにて、日本軍の暗号の解読にもチューリングは貢献した可能性が高いという。日本軍の動向はすべて把握されていた。改めて、勝てたわけがない。

  • 若布酒まちゃひこ/びんた

    暗号解読が詳しい。エニグマの解読しかほとんど話されないけど、実はエニグマ改良版「タニー」の解読もしていた、というのはこの本でしか読んだことがない。

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