このアルバムを聴いていると，Alison Brownの目指す方向がブルーグラスとフュージョンの融合のような気がしてくる。トラッドな部分も残しながらサウンドは斬新さも感じられる。こういう試みは個人的には大歓迎だ。Bela Fleckがとうとうアフリカンミュージックとブルーグラスのコラボという，「なんでもあり路線」に走ってしまった今，ブルーグラスの将来を背負うのは彼女だろう。コンサートの模様を収録したDVDがついていて，これも結構楽しめる。

女性バンジョー奏者のアリソン・ブラウンの新譜は洗練された曲がちりばめられている。自身のレーベルのアーティストに加え、Sam BushやStuart DuncanといったBluegrassの大物をバックに、素直な演奏を展開している。Bera Fleckがやや難解路線に走ってしまった今、サイモン＆ガーファンクルやジミヘンのカバー曲も含め、いい意味でBluegrassとJazzを融合したのは彼女を置いて他にいない。

Vanguard時代に発売されたアルバムからのベスト盤。様々なスタイルの曲が並ぶ中にも彼女が試行錯誤しながら自分のスタイルを確立していくことがわかる。ケルト風の曲、ラテン系の曲あり、さらにはストリングスとの競演までとバラエティーに富んでいて聴く者を飽きさせない。