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野上弥生子短篇集 岩波文庫

野上弥生子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003104903
ISBN 10 : 4003104900
Format
Books
Publisher
Release Date
April/1998
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

20世紀のほとんどを生きた、私たちと同時代の作家野上弥生子(1885‐1985)。『真知子』『迷路』『森』などの骨太な長篇小説でしられる野上弥生子は、また、克明な観察力と鍛えぬかれた描写力による確かな人間造形が際立つ、練達の短篇作家である。「或る女の話」「哀しき少年」「明月」「狐」など、秀作7篇を編年順に収録。

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 冬見

    「七夕さま」が大好きで他の作品も読みたいと思い手に取った一冊。全体を通して大満足。◆「死」女友達が集まって自分の知っている死について語る。◆「或る女の話」「女」という人生に翻弄された女性の生涯。女の人生に横たわる閉塞感。重要な選択は何一つ自ら選び取ることができず、虐げられ、当然のように忍従を強いられる日々。◆「茶料理」数十年前に短い間寄宿していた家の姪御との淡い交情。本書収録作のなかで一番好き。一夜が一生になる話をわたしはいっとう愛している。鏡花の「売色鴨南蛮」「女客」を思い出した。

  • ねむりん

    きっかけは、子供のときに見た昼ドラマ『五度半さん』。一人の女性が、色々な事情で結婚、離婚、再婚を繰り返していく筋書きだった。感情移入しながら見ていたが、最後まで見ることができず残念だった。原作が野上弥生子さんと最近になって分かり、この短編集にたどりついた。『或る女の話』→原作。読むことができよかった。男性に愛される気質を本能的に持っている女性の半生が描かれている。かなり羨ましい。ドラマでは主人公に好意的な視点のみだったように思う。反面原作では、主人公の女性女性したところに、批判的な視点をも当てていた。

  • Kotaro Nagai

    本日読了。恥ずかしながら野上弥生子は初めて読みました。文章の美しさに打たれました。 「・・・彼女の一双の大きな黒瞳(くろめ)に、二粒の涙を押し出した。草の露が葉末にたまるように、それは睫毛のかげまでまるく浮いて、きらきらと輝いていたが、瞬くと、華奢なまっすぐな鼻筋の線にそうて、ころがって、散った。」(「狐」より) 「狐」が昭和21年、それ以外は戦前・戦中の作品。「或る女の話」と「茶料理」、「山姥」どれも心に残ります。

  • 「或る女の話」がお気に入り。「その点で彼女は月であった。何遍欠げたように見えても、暫く立つと再び完全な形と輝きを取戻して、新鮮な、初々しい、処女に返るのであった。」というところで美しすぎて溜息。不思議と、そういうものだと受け入れてしまう魅力を持ってる。それは主人公の素直な性質に拠るものなんだろうなあ。不平に思わない、あまり多く傷ついたりもしない。「茶料理」もよかった。下宿での男女のやりとりは『こころ』を連想させるところもあるけれど、書かない男女の機微に美があって魅力的。

  • スローリーダー

    浮わついたところが微塵も無い、地に根を張ったような堂々たる筆致に、自然と読み手も心して対峙する。戦前という時代と、女性作家という社会的な立ち位置と自らの人格が、真摯で骨太の文章を紡ぎ出したと想像する。七篇の冒頭の『死』のインパクトでこの作家に嵌まった。『死』から30年を経て発表された『狐』は還暦を迎えた作者の時代観と死生観が仄かに見えてくる。

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