Precious

昨年リリースされた権上康志『Tomorrow is Comin』に収録されていた「スティル・マイ・マインド」に痺れた。作曲者を確認し、リリースを待ち望んでいたピアニスト、それが加納新吾。まさしく待望のリリースとなった本作、ジャケット・ワークも洗練されたセンスの良さを感じさせ、期待に胸を膨らませながら聴き始めてみる。早速一曲目のタイトル曲「プレシャス」にまた、痺れた。ダンディズムと色気のあるプレイで紡がれていく切なくも優しいメロディに郷愁を覚える加納のコンポジションが光る極上のオリジナル・ナンバー。GINGERBREAD BOYSのメンバーとしてスイング感溢れるドラミングに定評のある斉藤洋平の軽快なリズムワークに載せて、軽やかなプレイを聴かせてくれる「ステップ」から訥々とした始まりから徐々に熱気と愁いを帯びていく哀愁の「ゲルニカ」、時安吉宏のソロも光る秀逸のナンバーへと続いていく。

この冒頭の3曲でコンポジション、演奏、そしてこのアルバムが持っている雰囲気に魅了されます。4曲目はモンクの「ASK ME NOW」、スタンダードは他に7曲目「ALL OF YOU」、8曲目の「I THOUGHT ABOUT YOU」が収録されていますが、いずれの曲でもテーマの際立つ気持ちの良い演奏を聴かせてくれます。ピアノトリオ推薦盤！ （新譜案内より）

加納新吾（p）
時安吉宏（b）
斎藤洋平（ds）


【加納新吾プロフィール】
1986年大阪生まれ。6歳よりクラシックピアノを習う。大阪芸術大学音楽学科ポピュラー音楽コースに進み、ジャズに傾倒。関西を代表するピアニスト近秀樹氏に師事する。在学中より演奏活動を開始。2009年3月 ジュリアード音楽院ジャズワークショップに参加。現在自己のトリオや、様々なプレイヤーのサポートにて活動中。関西圏のみならず、全国にその活動の場を広げている新進気鋭のピアニストである。