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騙し絵

マルセル・F.ラントーム

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784488271039
ISBN 10 : 4488271030
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2009
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Product Description

幾度も盗難の危機を乗り越えてきたプイヤンジュ家のダイヤモンド《ケープタウンの星》。銀行の金庫で保管されていた253カラットのこのダイヤが、令嬢結婚の日に客たちに公開されると、世界六か国の保険会社から派遣された6人の警官の厳重な監視下、偽物にすり替えられてしまった! 誰が? いったいどうやって? 第二次世界大戦末期、本格ミステリ・マニアの仏人が、捕虜収容所で書き上げたという究極の不可能犯罪ミステリ登場!

Content Description

幾度も盗難の危機を乗り越えてきたプイヤンジュ家のダイヤモンド“ケープタウンの星”。銀行の金庫で保管されていたこのダイヤが、令嬢結婚の日に公開されると、警官たちの厳重な監視にもかかわらず、偽物にすり替えられてしまった!誰が?いったいどうやって?第二次大戦末期、本格ミステリ・マニアのフランス人が捕虜収容所で書き上げたという、幻の不可能犯罪ミステリ。

【著者紹介】
平岡敦 : 1955年生まれ。早稲田大学文学部卒業。中央大学大学院修了。現在中央大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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まずねぇ。不可能犯罪トリックに現実性を求...

投稿日:2021/06/15 (火)

まずねぇ。不可能犯罪トリックに現実性を求めること自体が、ナンセンスなのですよ。 トリックを思いついた人間が、それを用いて、現実に犯罪を実行する(三億円事件、死語でしょうけれど、などの例外を除いたところで)などと、ミステリー的トリックが、悪徳をアシストする。これは、好くないことです。ミステリーというのは、知識人の健全な娯楽である。これこそ、正論。 娯楽なのだから、現実に応用可能か? なんてどうでもよいのです。言葉上の奇術は、謎の提示が、不思議なのと同じくらい、意想外の解決をみねばなりません。読者にとっては、だまされる快感くらい、大事なものはないのです。 というか、応用不可能なトリックほど、意欲的で評価は高くなるべきだと、ときに私は思いはします。 逆に、応用可能で、発案者が密かに実践できたとしたら、大変だ。 書く側からの立場にしたって、きっとこんなトリックは、現実味がない、実行不可能であるという判断で、作品化を断念する、これはもったいないことです。どんなによくできたストーリーのミステリーであろうと、要は、お話なのだから、トリックは意表を突いた、サプライズがあれば、じゃんじゃん作品化すべきで、じゃんじゃん読まれるべきなのです。では、なにが重要か? と考えますと、トリックはお話の世界で論理のアクロバットと呼べるあるときは、大仕掛けの大胆な発想が、言葉のうえによってのみ、巧みに表現を凝らして、一見あり得るかのように、なりたってもいれば、充分なのであります。そして、面白ければ、面白いほどよいトリックなのです。発想、着眼点などが、優れているのが、素晴らしいのであって。言葉のうえの奇術なのですから、一見不思議そうに見えても、種明かしの段階でも、感銘深い面白いサプライズがあるのが、望ましいのです。いくら不思議な現象を見せられたって、カメラトリックで、それに全員がサクラでしたとの説明では、誰も読者はついてはこないでしょう。味わいの深いものこそ、望ましいのです。そして、それに貢献する説明の巧拙こそが、重要なのです。極論に近いことを書くようですが。 極端な例、辛うじて説明でき得る意表を突いたトリック(奇想)こそが、不可能犯罪トリックの一種、意欲的な妙味なのです。これぬきでは、犯罪の過程で、どこかまたはすべての箇所で、ミステリー的計画犯罪は必ず、計画通りには運ばず、破綻をきたす理由で誰からも、却下されるでしょう。カーの「三つの棺」にしろ、ルルーの「黄色い部屋の謎」にしろ、ザングウイルの「ビッグ・ボウの殺人」にしろ、フットレルの「13号独房の問題」にしろ、おっとこれは犯罪ではないか? それらの犯罪または計略は、問題なく進行するはずもないのです。ですから、作品に対する評価も以上のことをわきまえ、則った上でなされるべきだと、私は考えます。 この作品は、図面が凝っていて、愉しいですよ。しかも、その図面をにらみ合わせると、ああなるほどと、読み終わったときに、図面の中にトリックの存在を再確認できます。こんなに、ありがたいミステリーは、本当に貴重な作品です。島田荘司氏の「斜め屋敷の犯罪」を読んだ経験のある方で、面白いと想われた方なら、誰もが食指を動かされるのではないでしょうか? とにかくよくここまで、現実に作品化するまで頑張ったかを、大いに評価してあげねばなりません。基本になっている発想が素晴らしいのであって。後は構成しぬき、書きぬきで、大変な作業でしょう。ある意味、映像化不可能とされていた物語を、映画化にこぎつけたのと、ニュアンス通じるといいましょうか? 愉しませてくださってありがとうと、不可能犯罪読者エキスパートのような私からは、ねぎらいの言葉を、作者に真っ先にかけてあげたい、そして気がつくとブラヴォー・コールをしている。これは、そんな昔懐かしの、旧くても新しい印象を残す、「不可能犯罪御伽話的ミステリー」だと私は想うのです。密室系を好むミステリー・ファンの方なら、全員に読んで頂きたいお奨めの功労賞的、逸品でしょう。

エンタメ追求者 さん | 千葉県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • セウテス

    〔再読〕3作の興味深い密室ミステリを、立て続けに出しながらも、その売れ行きが良くないと知るや、フランスに本格ミステリはダメだと筆を折ってしまったと聞く。物語は集団観衆の中、5つの国から派遣された警官が警備するダイヤが盗まれてしまう。これは中々雰囲気が良く、必死に推理を巡らせていたのだが、やがて巨大飛空挺やら色々消えていくと、冒険ファンタジーかと首を傾げてしまう。ここで読者への挑戦が登場、作者がたいへんなミステリマニアなのは理解するが、何か本格ミステリを考え違いしてないか。気にしなければ、中々読みやすい。

  • KAZOO

    フランスのミステリーでこのような作品があるとは知りませんでした。どこかの感想で見て読みたくなって読んだのですが、「読者への挑戦」などという個所があったりで、著者が様々なミステリーを読みこんでいるのがわかりました。ただ解決があまりにも安易のような感じがしました。

  • しろ

    ☆6 メインの、宝石消失トリックが面白い。読者への挑戦で唯一解ったところだけど(アレをみれば見当がつくと思う)。しかし犯人だとかアリバイトリックだとかは精緻ながらも細かすぎてよく解らなかった。全体的に人物の影が薄く、人間味を感じられないもので、まさに本格ミステリと言うべきか。宝石消失場面なんかは特別な書き方でレポートのように事実がただ書かれている(そこにはもちろん意味がある)。そういうわけで少し読みにくいけど、解決は明瞭に語られる。リスクの高い犯行だが、小説はこれくらいじゃないとね。

  • ホームズ

    メインの事件が起きるまでが少し長いかな〜。事件が起きてからの展開は早かったので楽しめましたけどね(笑)犯人は割と分かりやすいかな〜(笑)探偵役のキャラクターが少し薄いかな〜。もう少し個性が強くってもいい気がしますね。他の登場人物たちのなかに埋もれてしまってる感じでした。それでもトリックとかは面白かったし他にもシリーズが翻訳されたら読んでみたいですね(笑)

  • geshi

    事件の前振りとしての〈ケープタウンの星〉の由来やアリーヌとマクシムのロマンスが長いのが気にはなるけど、それも含めて黄金期的で好きだな。 衆人環視状況からのダイヤ盗難に始まり、巨大な発明品の消失、失踪、誘拐、殺人と次々と事件を展開させて、検証はするが推理する余裕もなく一気に読み進めさせられる、いいスピード感。 メイントリックはよくぞここまでと称賛したくなる大掛かりなもので、良質のマジックを見た時のように見事な騙し絵を見せてくれている。

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