SACD

Sym, 3, : G.wand / Ndr So (1989)+leonore Overture, 3,

Beethoven (1770-1827)

User Review :5.0
(1)

Item Details

Genre
:
Catalogue Number
:
SICC10133
Number of Discs
:
1
Label
:
Format
:
SACD
Other
:
Hybrid Disc

Product Description

Japanese SACD pressing features DSD remastering. Sony. 2012.

Track List   

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ヴァントは、必ずしもレパートリーが広い指...

投稿日:2012/03/04 (日)

ヴァントは、必ずしもレパートリーが広い指揮者とは言えないが、それでもチャイコフスキーの交響曲第5番及び第6番や、ストラヴィンスキーのバレエ音楽など、意外な楽曲を演奏・録音していることについても留意しておく必要があると思われるところだ。とは言っても、ヴァントのレパートリーの中核は独墺系の作曲家の楽曲であり、定評のあるブルックナーの交響曲のほか、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームスなどの楽曲がその中心であったことは否めない事実であると言える。ヴァントによるベートーヴェンの交響曲の演奏としては、何と言っても1980年代に、手兵北ドイツ放送交響楽団とともにスタジオ録音した唯一の交響曲全集(1984〜1988年)が念頭に浮かぶ。当該全集以前の演奏もテスタメントなどによって発掘がなされているが、ヴァントのベートーヴェン演奏の代表盤としての地位にはいさかも揺らぎがないと言える。しかも、当該全集については、現在では入手難であるが、数年前にSACDハイブリッド盤で発売されたこともあり、ますますその価値を高めていると言っても過言ではあるまい。本盤におさめられたベートーヴェンの交響曲第3番の演奏は、1989年に北ドイツ放送交響楽団とともにライヴ録音したものである。本演奏と同様に、前述の全集以降は、第1番、第2番、そして第4番〜第6番のライヴ録音も行っただけに、残る第7番〜第9番の録音を果たすことなくこの世を去ってしまったのは極めて残念なことであったと言える。それはさておき、本盤の演奏も素晴らしい名演だ。前述の全集も、ヴァントの峻厳な芸風があらわれたいかにもドイツ色の濃厚な名演揃いであったが、いささか厳格に過ぎる造型美や剛毅さが際立っているという点もあって、スケールがいささか小さく感じられたり、無骨に過ぎるという欠点がないとは言えないところだ。それに対して、本盤の演奏は、おそらくはヴァントの円熟のなせる業であるとも思われるところであるが、全集の演奏と比較すると、堅固な造型の中にも、懐の深さやスケールの雄大さが感じられるところであり、さらにグレードアップした名演に仕上がっていると言えるのではないだろうか。もちろん、華麗さなどとは無縁の剛毅さや無骨さは相変わらずであるが、それでも一聴すると淡々と流れていく曲想の端々からは、人生の諦観を感じさせるような豊かな情感が滲み出していると言えるところであり、これは、ヴァントが晩年になって漸く到達し得た至高・至純の境地と言えるのではないかと考えられるところだ。そして、演奏全体に漂っている古武士のような風格は、正に晩年のヴァントだけが描出できた崇高な至芸と言えるところであり、本演奏こそは、ヴァントによるベートーヴェンの交響曲第3番の最高の名演と高く評価したいと考える。併録の「レオノーレ」序曲第3番も、晩年のヴァントならではの雄渾なスケールと崇高な風格を兼ね備えた素晴らしい名演に仕上がっていると言えるところだ。音質は、1989年のライヴ録音であるだけに、従来CD盤でも十分に満足できる音質であったが、今般、ついにSACD化されたのは何と言う素晴らしいことであろうか。音質の鮮明さ、音場の幅広さのどれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。いずれにしても、ヴァントによる至高の名演を、SACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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Beethoven (1770-1827) Items Information

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