『殺人者の顔』からヴァーランダーシリーズはスタートするが、本書は、同作登場以前のヴァーランダーが描かれた作品が集められている。20代、マルメ署時代の「ナイフの一突き」「裂け目」、イースタ署での「海辺の男」「写真家の死」「ピラミッド」の計5作。5作で600ページ以上なので、かなりのボリュームがある。ヴァーランダーが刑事として、どのように成長してきたのかが分かりやすい。また、スウェーデンの地方を舞台にしながら、現代の先進国のほとんどが抱える問題を浮き彫りにしている。ヴァーランダーが女性との距離感が微妙なのは、若き日から変わらないことも分かり、そこも面白さの一つ。

海外ミステリではなかなか読めないスウェーデンの警察小説シリーズの第一作目。中年の刑事 ヴァランダーが、とてもいい味。奥さんに出て行かれたり、娘とうまくいっていなかったりと人間味のあるキャラクターがリアリティをかもし出している。 ストーリーもとても面白く、ミステリ好きとしてはたまらない。シリーズを全部、再度読み直しましたが、どれも面白い。