カール・グスタフ・ユング Review List

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  • ●訳者 小川捷之氏は1938年生、1962年東京教育大学心...

    Posted Date:2021/07/19

    ●訳者 小川捷之氏は1938年生、1962年東京教育大学心理学科卒、1964年同修士課程修了、1990年上智大学心理学科教授 1996年逝去、1970年山王教育研究所設立・初代代表(当研究所は小川氏のあと河合隼雄氏が代表を引き継がれた) ●当書は、「心理臨床家のための119冊(創元社)」の1冊にリストアップされている。 ●ユング心理学は訳者自身があとがきで述べられている様に普遍的無意識や元型の概念を実際的に理解することが難しいが、至宝と呼ぶほどの無意識は人類学的な視点、人間の精神史的な視点から、遺伝子として霊長類以来か原人以来から刻みこまれたものなのかなとも思えた。人として誕生してからすべて学ぶものではなく、持って生まれた人類史として受け継ぐもの、あるいは、遠い祖先からのメッセージを携えているとも思える。そのメッセージを聞けるか、気づけるかは深く無意識の奥深く から手繰り寄せないといけないものかもしれない。それらは人々は言語を発明してからは神話として残してきたものとも思う。 ●患者に対する姿勢として、治療者の独善性を戒めており、改めて客観的な視点や患者の主体性を重んじる態度についてユングの人間性に惹かれる思いがした。 ●無意識が人生の半分を占めていると言われると、意識や自我だけでは不十分で、ユングがいうところの個性化の過程として無意識を統合した自己の実現を果たすことが、人としての生れてきた目標ではないかと思った。 ●「我々は劣等性によって我々の本能的な世界と同様、人類と結びついている。すべての機能を完全にすることは有益でさえありません。」・・・ここでユングは人の多様性を語り、その全体を受容することの学 びの重要性を示唆しているように感じた。 ●転移、逆転移について多くの時間を割いて講義しているが、今までとらえていたフロイト流の転移・逆転移の概念とは違い、 解消されなければならない転移として治療者として取り組むべきとのユングの教えには価値観の転換を迫られた。 ●「分裂したそれぞれのコンプレックスは、無意識の状態にあって、間接的な表現手段を探し求める。それが神経症的症候」 「神経症の発症を自己治癒への試みであり、劣等機能による補償の試み」とのコメントについては、心の機制や補償についての事例として意義深く感じられたと共に発症に対する元々の「悪くなっている」との価値観や精神病そのものも文化がそれを規定しているのではとの視点に通じるものとして価値観や視点の客観性が問われる様に思えた。 ●劣等機能、無意識、転移、逆転移、神経症、普遍的無意識と元型と神話等、数多くのところで「目から鱗」が数多く落ちた。

    brian . |70year

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