klo:yuri

ピアノや弦楽器とエレクトロニクスを見事に融合し、その素養に裏打ちされた室内学的構築美が、のちに興る音楽の新たな潮流「ポスト・クラシカル」の文脈でも語られ注目を集めた1stアルバム『LushRush』より約２年、midori hiranoが2ndアルバム『klo:yuri（クロユリ）』を、再びnobleよりリリースします。 大学をクラシック・ピアノ専攻で卒業後、コンピューターを用い音楽制作を開始したmidori hirano。海外のレーベル・コンピレーション参加やEPのリリースを経て、2006年9月に1stフル・アルバムをnobleより発表しました。その後も他アーティストのリミックスやコラボレーション・ワーク、また、ヨーロッパやアジアの映画へ楽曲を提供するなど、国際的にその活動の場を広げています。今年2月には、ベルリン国際映画祭主催の若手映画製作者向けのプログラム「Berlinale Talent Campus」の作曲家部門に当年唯一の日本人として招聘されるに至りました。
今作は1stと比べ生楽器の要素が大幅に減り、電子音や即興演奏、フィールド・レコーディング等の割合が増しています。更に前作では数曲のみ聴けた彼女自身による囁くようなヴォーカルが、少しだけ力強く、約半数の楽曲で披露されています。前作では作曲からミックスまでほとんど独りで行っていましたが、今回はミックスとマスタリングをsoundwormの庄司広光が担当し、その独特の音響構築でアルバムの世界観をより重層的で強固なものへと昇華させています。 インプロヴィゼーションの緊張感、宗教音楽を想わせる厳かな旋律。そして儚さの中にどこか思慮深げな歌声と、古いヨーロッパの寓話のような暗示的な歌詞。確かな成長とより一層のオリジナリティを刻んだ、深いストイシズムと独自の美意識で貫かれたmidori hiranoの音の迷宮を、どうぞお楽しみください。