我が祖国 〜ジ・アッシュ・レコーディングズ Vol.１

オリジナル・ナンバーにスポットを当てた、入門編としても最適な一枚！

〈アメリカン・フォーク・ソングの父〉こと伝説のフォーク・シンガー：ウディ・ガスリー（1912-67）は、ボブ・ディラン、フィル・オクス、ブルース・スプリングスティーンなどを筆頭とする数多くのアーティストたちに影響を与えた人物として知られます。1930年代から40年代にかけ、彼はおよそ1,000曲以上の曲を書き上げますが、その内訳はオリジナル・ソング、フォーク／カントリー・ソングのカヴァー、トピカル・ソング（時事的な内容の歌詞をのせたフォーク・ソング）、カウボーイ・ソング／ウェスタン・ミュージックと、実に多岐ジャンルにわたるものでした。1940年代、そのうちの数百曲はレコーディング・エンジニア／フォークウェイズ・レコーズ創立者：モーゼス・アッシュ（1905-89）によってレコーディングされますが、そこには「我が祖国（This Land is Your Land）」などをはじめとした後世に残る名曲も多数存在。今回はそんなアッシュの録音音源から、ウディのオリジナル・ソングにフォーカスを当てた編集盤『我が祖国〜ジ・アッシュ・レコーディングズ Vol.１』をご紹介いたします。

本作の主役：ウディ・ガスリーは、オクラホマ州の幸せな家庭に生まれ育ちますが、彼が17歳になると長患いに苦しんだ母親が亡くなり、一家は離散。以降ウディは、日雇い仕事をしながら南部を放浪します。やがて恐慌に苦しむ庶民の姿を歌詞として綴りはじめ、労働組合の集会などで披露。社会派フォーク・シンガーとして人気を博すようになりました。そして彼の知名度が格段に上がったのは1930年代中頃。フォーク・ソングや自作のプロテスト・ソングをカリフォルニアのラジオ局で歌ったことにより、人気ＳＳＷへと急速な変貌を遂げます。その後は、NYに拠点を移動。1941年にはピート・シーガーらと共に結成した〈アルマナック・シンガーズ〉のメンバーとしても活躍し、ソロ・アーティストとしても活動。1944年にはアッシュと出会い、後世に残る名曲の数々をレコードに刻んでいくことになりました。しかし1945年、火災事故により愛娘キャシーを失ってからは、うつ病を発症。さらに40年代後半からは、遺伝によるハンチントン病、また、アルコール使用障害と統合失調症も悪化して行き、1967年に亡くなるまでの20年近くの時間を、大きな苦しみと共に過ごすこととなってしまいました。

度重なる苦難によって悲しい最期を迎えてしまったウディですが、彼の音楽家人生の中で最も輝いていた時の歌声を堪能できるのが本作。収録は、彼の代表曲である「我が祖国（This Land is Your Land）」の3つの異なるヴァージョン（1,14,27 オフィシャル・リリースのものとは歌詞が異なる）や、ボブ・ディランにも多大なる影響を与えたトーキング・ブルース・スタイルの4、やり手の弁護士とカウボーイの妻の不倫物語を絡め、当時の北米のステレオタイプを皮肉った5など、ヴァラエティ豊かな構成も魅力です。有名曲も多く含まれるため、ウディ・ガスリー入門編としても最適な一枚。是非、ご期待ください。

・日本語解説／帯付き

(メーカー・インフォメーションより)