Fado: The Best Of Traditional

アマリア生誕100周年記念！
伝統ファドをコンパクトに楽しめる１枚！

今年生誕100周年を迎える女性歌手アマリア・ロドリゲス（1920-99）に代表されるポルトガル音楽のファド。これまで弊社ではそのアマリアを中心にしてファド・シーンを紹介してきましたが、もちろんアマリア以外にもたくさんの才能あるファディスタ（ファド歌手）が存在しています。ただ、そういったファディスタを収録したオムニバス盤はカタログとして残りづらく、すぐに廃盤となってしまいがち。そんな中ファド初心者にご紹介したいのが本作。良質なファドの編集盤を精力的にリリースし、熱心なファンを魅了し続けているポルトガルのレーベル“Seven Muses”が自信を持ってコンパイルした“伝統ファド名曲25選”です。

元々ファドはラテン語の「fatum（運命）」に由来する言葉で、1800年ごろから音楽としてリスボンの地に息づくようになりました。その後ギターラ・ポルトゥゲーザ（ポルトガル・ギター）が伴奏に加わるようになると、現在聴かれるような音楽性に近づくようになります。そんなファドが黄金期を迎えたのが1930年代から1974年までで、その間にたくさんのファディスタが登場し録音を残しました。その後74年のカーネーション革命をキッカケにファドは長らく停滞期を過ごすことになりますが、ユネスコの無形文化遺産の認定（2011年）も相俟って近年になり復興の兆しが見られるようになったファドは、いまでは伝統を重視した若手ファディスタもたくさん台頭するようにまでなりました。

本作は最初の黄金時代に活躍した重要歌手たちの歌声を25曲集めた編集盤。Seven Musesからはこれまでボリュームの大きいボックスものの編集盤がメインだったため、初心者からはやや敬遠されがちでしたが、このコンパクトさは非常にお勧めやすく、ファドの敷居を一段と引き下げてくれます。

ここにはアマリアをはじめ、そのライヴァルだったマリア・テレーザ・デ・ノローニャ、そして「史上最高のファディスタ」と称された男性歌手アウフレード・マルセネイロといった大物たちはもちろん、あまり日本では紹介されてこなかった実力派ファディスタたちの名唱を所狭しと収録。そしてコンパイラーは、以前に来日も果たしている女性ファディスタのデボラ・ロドリゲスが務めていて、さらにブックレットにはポルトガル語／英語で綴られたファドの歴史も記載されています。

古い音源が中心ですが、HDオーディオ規格によるリマスタリングが施された高音質で楽しめる本作。アマリア生誕100周年のアニヴァーサリーに併せて、是非ともお勧めください。

●日本語解説／帯付き


（メーカーインフォメーションより）