Artificial Intelligence Vol.1

裏ジャケットにやや意味深に「Are You Sitting Comfortably ？」というメッセージが添えられている。アシッド・ハウス・エクスプロージョンから少し離れた場所で設立されたシェフィールドのレーベル＜Warp＞が導き出した『Artificial Intelligence』という道。『Artificial Intelligence』とは…「長旅や静かな夜のためのエレクトロニック・リスニング・ミュージック」であり、「音楽が世界共通言語であることを実証する電子音楽の革新者による精神のための音楽」と＜Warp＞は定義している。闇雲なダンスミュージックとしての機能だけでない、パーティ後のチルアウトルームや深夜のベッドルームのためのリスニング・テクノの制作／確立を目指したものといえるでしょう。この＜Warp＞の意思を具音化すべく集まったのがここに収録されている才人たち。のちに『Artificial Intelligence』アルバムシリーズの口火を切ることになるRichard D Jamesの変名が冒頭を飾り（この時点ではアーティスト名がDice Man、曲名がPolygon Windowとなっている）、Michael Golding & Steve RutterによるB12の変名Musicologyが続く。ヒップホップからの影響も多分に感じさせるAutechreは広がりのあるシンセとうにうにしたTB303のベースでブレイクビーツを鳴らし、Black Dogの変名I.A.O.が壮大で美しい楽曲でそれに続く。＜+8＞からリリースのあるSpeedy Jの楽曲、Richie HawtinのプロジェクトUp!（m-7）によるディープな四つ打ちトラックがあり、ラストにはDr Alex PatersonことOrbによる楽曲が収録されている。1992年発売の電子音楽史にその名を刻む1枚。