タートル マウンテンの混血音楽

移民の国アメリカの混血文化の縮図〈タートル・マウンテン〉の音楽!

音の「資料化、保存、普及」を通じ、人々が持つ文化的多様性、相違に対する理解向上促進を目指しているアメリカ合衆国のレーベル〈スミソニアン・フォークウェイズ〉。戦前音源から現行のラップ/ヒップホップに至るまでと、ヴァラエティ豊かかつ歴史的価値の高いアーカイヴ音源を所蔵していることでお馴染みの同レーベルですが、中でも本国アメリカ合衆国の伝統音楽については一際強い想いを持って紹介しているフシが感じられる事が多く、本作はその最たる例と言えます。

合衆国中西部の最北部に位置するノース・ダコタは、グレートプレーンズ(大平原)にある州として知られていて、カナダとの国境近くに存在する“タートル・マウンテン居留地"がこの作品の舞台となっています。毛皮貿易の拠点として17世紀より発展したこの地は、先住民(チッパワ族、クリー族)とヨーロッパ人(イギリス人、フランス人)とが早い段階から交わり、メティスと呼ばれる混血人種を生んで豊かな文化を育んできました。その最盛期は1750年から1850年でしたが、その時期には新しい言語のほか、独自の音楽/ダンス/物語といった文化を生み出しました。その中でも音楽は一際異彩を放っていて、レコードが普及する1950年代まで口承で伝えられてきたことは、それだけ個性的で魅力あるものだったからに他なりません。

本作はそんなタートル・マウンテンのメティス音楽を1チッパワ(先住民)のドラム歌、2お年寄りから子供までが歌うフランス語の歌、3フィドルによるダンス音楽、4ポピュラー音楽(現代のフィドル音楽、カントリー、ロックンロール)という4つのカテゴリーに分けて紹介した1992年制作の作品です。録音は1984年なので少々古い音源ではありますが音質には全く問題はなく、フィールド録音された1や2で聴ける歌や楽器演奏も生々しく楽しむことができます。もちろん演奏しているのはすべてタートル・マウンテンを代表する音楽家たちで、北アメリカの文化遺産の中でも特に優れていると言われる当地の伝統音楽などがダイジェストに楽しめる一方、24ページに及ぶブックレットにはその音楽の背景や貴重な写真などが掲載されており、日本語解説ではその聴き所などを中心にご説明を加える予定です。

まさに〈移民の国アメリカの混血文化の縮図〉といえる本作。民俗音楽学などに興味のある方にもお勧めいたします。

・日本語解説/帯付き

(メーカー・インフォメーションより)