テレビドラマ「お荷物小荷物」音楽編

小西康陽が「最高に面白い番組だった」と絶賛した(そのテーマ曲をNHK「トップランナー」で自らのバンド、小西康陽とGroove Room Orchestraの演奏で披露。また後にワックワックリズム・バンドも同曲をカバー)茶の間の実験的前衛ドラマ、のちに「脱ドラマ」と呼ばれた「お荷物小荷物」(1970〜大阪朝日放送制作・TBS系放映)。主演は当時人気絶頂の中山千夏、出演は志村喬、浜田光夫、林隆三、渡辺篤史など、プロデューサーはのちに「必殺」シリーズを生んだ山内久司、脚本は「ウルトラマン」「怪奇大作戦」「奥様は18歳」などの佐々木守。ゴダールの「彼女について私が知っている二、三の事柄」に影響を受けた(と述懐された)作風は全く新しいもので、ファンクラブが出来るなど高視聴率を記録、沖縄、アイヌ問題を描き反天皇制思想を垣間見せた内容ゆえ一度も再放送がなかったものの近年ある週刊誌で行われた好きなドラマのアンケートでも上位にあるほど多くの人々に強い印象を残した名作である。

音楽(劇伴)は、アメリカから帰国直後の最先端最前衛のジャズ・ピアニスト/作曲家の佐藤允彦。続編である「カムイ編」では輸入間もないシンセイサイザーが使われた。 本商品CD部分には大阪朝日放送に残されたテーマ曲(2編から合計5テイク収録）を含む音楽マスターテープから出来る限り復刻、また出演者である佐々木剛(仮面ライダー2号でおなじみ)が「カムイ編」(1972〜)で披露した劇中歌(好評を呼び、テイチクからシングルカットされた)2曲を附し(これも初CD化)、合計13曲を収録。 また文筆家・加藤義彦氏の編集による別冊・資料編ブックレットは、約60頁に及ぶフルボリューム、その詳細な解説と佐藤允彦(音楽)、中山千夏(主演)のインタビュー、佐々木守(脚本)のエッセイ、放映全話リストと各話あらすじ、貴重な図版、さらに第1話の台本を丸ごと採録、などで構成。