Slash
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Slash (スラッシュ) プロフィール

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Slash

現在活動停止中のバンドで、思いつくものをあげよ、と言われたらやっぱりガンズ&ローゼズ・・・。それにしても長い空白期間、もうメンバーはアクセルしか残っておらず、あの奇跡的なダイナミズムが出現することはないのかと思うと残念でなりません。実は生ガンズに2回も参加している、しかも東京ドームで豆粒みたいなメンバーをずっとモニターで見ていた、という隠れマニアな僕ですがちょっとスラッシュについて語ってみます。

ガンズを教えてくれたのは高校時代の友人でした、彼はアメリカ帰りのイカした奴で、「今向こうじゃコレが凄いことになってる」と渡されたのがアペタイト・フォー・デストラクション(Appetite For Destruction)でした。彼曰く「このジャケット本当は違うんだけど、差し替え食らって裏面が表に来てんだよ」なんてエピソードもなかなかに衝撃的でした。で、部活とかやって帰るわけですが、そこにあの「シャナナナナ・ニーズ・ニーズ!!」。書いていてもあの熱い感覚がよみがえるようで、友人たちがドリカムなどを貸し借りするのを横目に見ながら、登下校に聴いたものです。本当にこれがデビュー作か?と疑いたくなるような出来のアルバム、捨て曲なし、最初から最後まで聞ける本当にナイスな一枚。スラッシュイジーがいて、スラッシュがリード・ギタリストってことはコイツの方が凄いんだな、と思いながらジャケットの小さい写真を眺めていました。そこに映っているのはちりちりの黒髪の上に黒のシルク・ハットを被り、くわえタバコ、右手にジャック・ダニエル、左手でレスポールのネックを押さえているあの姿。一度にたくさんの事をやってしまうという例のあの”スラッシュ・スタイル”(勝手に命名)です。とにかくこの時期のスラッシュをはじめとしたメンバーには、どこかいかがわしい妖艶な魅力があって、よく雑誌では”古臭い”だのと書かれているのを目にしましたが、十分に日本の高校生には刺激的なものでした。

87年にガンズの一員としてデビューをするスラッシュ(本名Saul Hudson)ですが、1965年7月23日にイギリスで生まれています。アメリカ黒人の母親とイギリス人の父親は二人とも音楽を始めとするアート・シーンに関わる仕事をしており、そんな環境で育てられたことによりスラッシュは非常に早熟で、多感な幼少時代をすごしたようです。デビッド・ボウイの家で数ヶ月生活していた、というエピソードも残っているほどです。やがてアメリカ・ロサンゼルスに移住、さらには両親が離婚、という目まぐるしく変化する環境の中でスラッシュは、祖母から与えられたギターを手に音楽というものに接していきます。一日に12時間もの練習をするほどギターに夢中になったスラッシュは学校を中退し、バンド活動に専念。やがてLAのロック・シーンで知り合ったアクセルとイジーの参加しているバンド、ガンズ&ローゼズに参加しています。

改めてデビュー作、アペタイト・フォー・デストラクションの魅力はなんだろうと考えてみると曲の良さや、演奏力などももちろんですが、やはりメンバーが生み出す一体感、緊張感の絶妙なバランスにあると思います。以降、とかく政治的なパワー・ゲームに陥っていくガンズ内部のメンバー関係ですが、この時はまだまだアクセルも「シャナナナ」とやりたいだけのようで、バンドに貢献しているし、イジースラッシュもきれいに住み分けされたパートを弾いており、”ロック・バンド”しています。特にイジースラッシュのギター・ワークの絡みは出色で、終始つんのめるように引き倒しているスラッシュに対して、リズム感を重視したプレイに徹するイジー、というこのコンビネーションをじっくりヘッドフォンなどで聞くのは、相当心拍数が上がる時間になります。スラッシュのギターはひずみこそまだまだ少ないものの、既に独特のあの音色を獲得しており、驚かされます。スラッシュ的には、ひずみ度:50です。

この時期のガンズのダイナミズムを体験できるのが8曲入りのGNRライズ(Lies) 。前半部に収録されている4曲ですが、いずれもメジャーデビュー前のライブ音源でありながら、グイグイと引き込まれるような熱演。スラッシュのギターは録音レベルこそ低いもののイジーとの住み分け、メリハリの利いたプレイがきっちり行われて醍醐味のあるハードロックが聴けます。後半部のアコースティック的なアプローチにも、穏やかながら迫力十分のテンションが込められています。

メンバー間のトラブル、マネージメントとの問題、ドラッグ濫用の噂・・・バンドは過激さを売りにしながら、同時にその過激さに食いつぶされつつ、それでも坂道を転げ落ちるように雪ダルマ式に巨大化していきます。そしてまず脱退してしまったのがドラムのスティーブン・アドラー。ドラッグを克服できなかったスティーブンはバンドから離脱してしまい、この時にイジーは「あのスティーブンの押して引いて、っていうスイングするグルーブ感が無くなったのはバンドにとって痛かった」と語っています。結局バンドは後任に元カルトのマット・ソーラムを迎え入れてこの困難を切り抜け、91年にユーズ・ユア・イリュージョン1(Use Your Illusion 1) 2を2枚同時リリース。毎月のようにロック雑誌に載る記事の中で、「何故2枚組にしなかったのかって?お金がないキッズは、1枚買って友達どうし貸し借りできるだろ」とアクセルが語っていたのを思い出します。

この破格のスケールを持った2枚組アルバムで真骨頂を発揮したのがスラッシュのギター。過剰なほどディストーションがかけられ、グシャリとつぶされたそのサウンドはスラッシュのみが出せる音。全編が強烈なディストーションサウンドにおおわれたハードロック、そして脅迫症的なアクセルのボーカルが響いていくこのアルバムには、圧倒的にリアルな力強さが存在しています。有無を言わさぬパワーというのはこの時期のガンズのようなことを言うのでしょう。どちらかと言えばハードな曲調が多い1に対し、2はややポップな作風に仕上がっており、ターミネイター2の主題歌ともなった”ユー・クッド・ビー・マイン”のギターフレーズなども印象的です。全編のギターテイクをほぼ一人で引いたというように、大活躍となったスラッシュ。その一方でこの時期にイジーが脱退しています。後任にギルビー・クラークが加入。犠牲者を出しながらもバンドは進み続け、93年にカヴァー・アルバム、スパゲッティ・インシデント(Spaghetti Incident)をリリース。ダムドセックス・ピストルズ、などのパンク・バンドをカヴァーする一方、Tレックスなどの渋いナンバーも見事にガンズ色に染め上げています。サウンドの方は前作からさらにヘヴィさを増し、スラッシュのギターももうグシャグシャになって、スピーカーを突き抜けています。

そしてこの時期からバンドはピタリと活動を止めてしまいます。そしてメンバーがどんどん減っていきます、それは繁栄を極めた一族がバラバラとなっていく過程を眺めるようです・・・。その過程はもはやみなさんご存知だと思いますので割愛します。スラッシュも脱退することになるわけですが、その原因となったとも言えるのが95年に始動したプロジェクト、スラッシュズ・スネイクピット。このバンドは元々暇つぶしのような形で始められたようで、ガンズ仲間であるドラムのマット、ギターのギルビー等も参加し和気あいあいと、なんてことは無く「やりたい事をやる環境がないから作ったのさ」などと不穏な発言を残しています。ファースト・アルバムとなったイッツ・ファイヴ・オクロック・サムホエア(Its Five O Clock Somewhere)、内容の方はかなりストレートなハードロックが炸裂しており、スラッシュ的にひずみ度:80といったところです。(スパゲッティを100とした場合)このスネイクピットですがガンズ本体がから完全に離脱した96年以降、皮肉なことにスラッシュの活動の中心となります。レーベル間のトラブル等に合い、なかなかリリースされなかった2ndエイント・ライフ・グランドもリリースされ、こちらでもスラッシュ独特のブルースを基調に据えた骨太なハードロックを展開しています。ちなみにひずみ度は75です。

マイケル・ジャクソンデンジャラスに参加、レニー・クラビッツとのコラボレーションなど、ここではあまり触れませんでしたが課外活動も活発なスラッシュ。その独特なひずみ・サウンドが多くのアーティストにも支持されているのでしょう。しかしやはりスラッシュが輝いていたのは、アペタイトユーズ・ユア・イリュージョン12といったガンズのメンバーにいた時。ここで少し日本公演の話を出させていただくと、正直2階スタンドだったのでほとんど見えていません。ただ、ダブル・トーキン・ジャイブの後半に長いギターソロがあり、スポットがスラッシュのレスポール部にあたった時、観客もなぜかシーンとしてしまい、低く構えたあの姿勢がたまらなく格好良かったのを覚えています。ガンズの復活・・・それもオリジナル・メンバーで・・・というのは所詮かなわない夢なのでしょうか、スラッシュのギターをそこでこそ聴きたいものです。

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