Boa Pessoa

ブラジルSSWシーン傑出の才能が、10年以上の沈黙を経て放つセカンド・アルバム。 アンドレ・メマーリ、シコ・サライーヴァ他、注目ミュージシャンを迎え綴る、ポップとアヴァンギャルドが交錯する極上のアコースティックMPB

シルヴィオ・マンサーニの名を記憶している方は相当のMPB通でも数少ないと思われる。作曲家、ギタリスト、そして歌手。2001年にリリースした1stアルバムがサンタカタリーナ州基金による賞を獲得するも、次作はしばらく時間が空き、エミリオ・パゴットとともにインファンチル(子供用)アルバムをリリースしたのが2007年。そしてこの度リリースされた最新作が2011年末ということで非常に寡作。しかし長い時間をかけて用意され録音された本作を聴けば、次々と天才・異才・鬼才の現れるブラジルSSWシーンにおいても特出した才能の持ち主であることを認識し、その素晴らしさに目を瞠ることとなる。

楽曲はアンドレ・メマーリ、シコ・サライーヴァらとの共作も含み全てシルヴィオのオリジナル。ピアノ、コントラバス、ドラム、トランペットといったアコースティック楽器を中心に、ほのかな芯を感じさせるシルヴィオのヴォイス、そしてギター。加えて曲によるエレピやシンセ、打ち込みなどが効果的に使用され、聴く者をどこか不思議な世界へと迷い込ませる。

クラシックの素養も感じさせる同郷のピアニスト、ルイス・グスタヴォ・ザーゴらがサポートししめやかに綴るM1に始まり、シコ・サライーヴァ、トニーニョ・フェーハグッチのサポートでガウーショの心象風景を描くM2、アンドレ・メマーリとのデュオで綴るM5、シコ・サライーヴァとダニエル・ムヘイの二台のギターが奏でるアンサンブルが加速するM6・・・。今旬ともいえるミュージシャンによるサポートがシルヴィオの世界観を完璧なまでに表現していく。とりわけアンドレ・メマーリが楽曲提供、ピアノ演奏だけでなくコントラバス、トイ・ピアノ、サンプラー、シンセなどを多重録音して作り上げたM9"Valsa Blue"は圧巻の一言であろう。教会音楽や古楽のような荘厳さをまといながらロードムービーのようにゆっくりと描く世界は、ブラジル南部の音楽シーンの充実を嫌なほどに思い知らせてくれる一曲だ。
（メーカー資料より）