Sym.2 / Piano Concerto.5: 園田高弘(P), 近衛秀麿 / 日本.po

シベリウス：交響曲第2番
ベートーヴェン：ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
園田高弘（ピアノ）
近衞秀麿（指揮）　
日本フィルハーモニー交響楽団

録音：1970年4月27日（シベリウス）
1969年9月30日（ベートーヴェン）
東京・東京文化会館にて収録

　　
日本の貴重な音楽文化遺産、これが近衞秀麿のタクトだ！！

日本のオーケストラ史における最大の功労者でありながら、その評価が正当とは言えない孤高の名指揮者、近衞秀麿の映像が現代に甦ります。
1924年に日本人として初めてベルリン・フィルの指揮台にたったことでも知られる近衞秀麿ですが、知力・財力のすべてを尽くして、日本にオーケストラを根付かせました。
近衞の指揮ぶりは、音楽の流れと昂揚を重視した柔らかい動きを特徴とする、全く独特のものであり、打点の明確さを旨とする「サイトウメソッド」とは対極をなすものであるといえます。シベリウスでまず驚かされるのは、管楽器奏者の補強ぶりで、木管はすべて倍管、金管もホルン6、トランペット5、トロンボーン4が舞台所狭しと並び、近衞が細かく指示した楽譜によって、絶妙なダイナミクスの変化を形作っています。
演奏も次第に熱を帯びていき、その音楽作りが綿密な設計と即興的な情動の両立を目指したものであることが分かってきます。

協奏曲でももちろん＜近衞版＞が用いられていますが、柔らかく響き渡る冒頭の和音からもわかるように非常に自然で格調高い編曲です。当時40代だった園田のテクニックは抜群で日本を代表するピアニストの脂の乗り切った壮年期の記録としても、貴重なものです。