Dust

＊ラディカル・スコティッシュ・トラッド？！
スコットランド・スカイ島から攻めよせるケルト音楽！

　ワールド・ミュージック・シーンの中でも特に人気の高さを誇るケルト音楽。アイリッシュ・ミュージックに代表されますが、今回紹介するのはそのお隣りのスコットランドの北西部に位置する、同国の２番めに大きな島、スカイ島を拠点に活躍しているグループです。
　ピートボッグ・フェアリーズは1991年に結成。当時は地元のパブで演奏するごく平均的なスコティッシュ・トラッド・バンドでした。しかし度重なるメンバーの交代や増減員をくり返しているうちにスコットランドの伝統音楽には収まりきらず、さまざまな音楽要素を入れるようになります。特にレゲエやファンクのリズム、そしてロック的なギター・リフを取り入れ、ダンス・バンドとしての強度を高めていったのです。ファースト・アルバムは1996年。スコットランドの首都エディンバラのレーベルからでした。そしてその２年後にはニューヨークのレーベルと契約。セカンド・アルバムでは大きくエレクトロニクスを導入し、クラブ・ミュージック的、アンビエント的な要素を高め、アフロ・ケルト・サウンド・システムやバガ・ビヨンドといったグループと比される存在となったのです。
　しかし残念なことに制作元のレーベルが経営不振におちいり、アイディアなどはたまっていたもののなかなか発表することができず、ついに自分たちでレーベルを興します。2000年にサード・アルバムをリリース。そのころにはヨーロッパを中心に人気が高まり、４枚めのアルバムを出した2005年にはスコットランドのアウォードで「ベスト・ライヴ・アクト」に選ばれ、2008年にも同様の賞に輝きました。
　そんな彼らが今年リリースした６枚めとなる最新作がこちら。すべてインストルメンタル・チューンで構成されていますが、20年のキャリアはダテではなく、ヴァラエティに富みながら堂々としたサウンドを聴かせてくれます。ダンスビートを効かせた曲ではワイルドに、旋律を聞かせる曲では繊細に。そのダイナミズムが見事です。
　この季節になるとケルト音楽の需要が高まりますが、もちろんその要望にばっちり対応。北欧のラディカル・トラッドとよばれるグループがお好きな方にもオススメです！