エロイカ

わずか5本の長編作品を残し、40歳の若さで事故死したアンジェイ・ムンクは、硬質で無垢な芸術表現、残酷なまでのリアリズム、人間に対する深い洞察を持つ作風で、現在もなお色あせることなく多くの作家に影響を与えている。ワルシャワ蜂起の内実と、平和な収容所で起こる悲劇を二部構成で描いた本作。“戦争”を主題に扱うことの多い〈ポーランド派〉の代表的な1本である。　

収録時間：84分／製作：1957年 ポーランド／モノクロ／画面サイズ：1920×1080P　Full HD （オリジナルサイズ：ヴィスタサイズ）／1層／

■音声：1.ポーランド語／リニアPCM モノラル
■字幕：1.日本語字幕

【スタッフ】
監督：アンジェイ・ムンク
脚本：イエジー・ステファン・スタヴィンスキ

【キャスト】
エドヴァルト・ジェヴォンスキ（ジジュシ）、レオン・ニェムチク（ハンガリー軍中尉）、タデウシュ・ウォムニツキ（ザヴィフトスキ中尉）

【ストーリー】
　イエジー・ステファン・スタヴィンスキが、自作短編小説『ハンガリー人たち』と『脱走』（共に第二次大戦中の実話に想を得ている）を翻案した脚本に基づく、二部構成の作品。
　第一話は『ポーランド風スケルツォ』。陽気なしたたか者の中年男ジジュシ（エドヴァルト・ジェヴォンスキ）は、国内軍兵士として訓練中の身。だが訓練に嫌気が差し、部隊を抜け出して郊外の自宅に帰る。ところが家を空けている間に妻のゾシャは近くに駐留するハンガリー軍の中尉（レオン・ニェムチク）と良い仲になっていた。ハンガリーは、当時劣勢にあったドイツと手を切り、枢軸国側から離脱したいと考えており、中尉はジジュシに、国内軍司令部への援軍の伝言を頼む。伝令役として危険な戦闘地域を何度も往復する羽目になったジジュシの運命は……?
　第二話『オスティナート・ルグーブレ（悲痛な執拗反復）』は、ワルシャワ蜂起の生き残りで、ドイツ軍の捕虜となった国内軍兵士たちが送り込まれたアルプス山脈の麓にある収容所での物語。1939年の戦闘で捕虜となった古参将校たちは、ただ一人収容所からの脱走に成功したザヴィストフスキ中尉（タデウシュ・ウォムニツキ）のことを英雄視していた。だが実はザヴィストフスキは脱走したどころか、一部の古参兵によって兵舎の屋根裏にあるボイラー内に密かに匿われていた。その事実に気づいた新参将校は、仲間たちを失望させないよう口外を控えるのだが……。

夭折したポーランドの映像詩人アンジェイ・ムンクが手がけた、戦争をテーマにした“ポーランド派”の代表作。ワルシャワ蜂起の内実と収容所で起こる悲劇を、2部構成で描き出す。エドヴァルト・ジェヴォンスキ主演。(CDジャーナル　データベースより)