Nobody Loves Me Everyday I Have The Blues

VEE-JAY、UNITEDやFOLKWAYS等の代表作は良く知られるが、60年代後半にはパリに移住し、白人リスナー向けに残した多数の録音数が拒否反応を生むのか？さて原因はわからないが、彼の魅力をトータルに捉えるファンは意外に少ない。ここに用意された音源は彼のキャリア初期、ウォッシュボード・サムらと残した40年代戦前録音に、40年代中盤、後にKINGのLPにまとめられるHY-TONEやMIRACLEの音源をまとめた25曲である。後者のスロー系の曲は彼の原点と言えるシティ・スタイルが強く出ており、ルーズベルト・サイクスの影響も感じられるが、それ以外のジャンプ感覚も滲み出るブギ・スタイルはもっと注目され、人気が出てもよいのにと思わざるを得ない。今更ではあるがジミー・ロジャースのCHICAGO BOUNDの元ネタ20曲目、B.B.のあのヒット曲の元ネタ、21,〜21曲目も収録されているし、何より15や17曲目のブギ・ナンバーはゴキゲンである。引きずるようなスロー、ミディアムに個性が顕著に見られる点は否定しないが、それだけの人ではない。かつてであれば別々の編集盤でなければ聴けなかったビンテージ音源がまとめて聴ける点も嬉しい。彼の魅力を捉えなおすのはもってこいの1枚と言えるだろう。蓋し、"貴方のメンフィス・スリム嫌いもきっとこれで治るはず?!"のお薦め盤。ただのベストではなく、明確に意図を持って編集されたと思われる好内容であり、ジャケこそ地味だが内容は最高である点を強調しておきたい。

メーカーインフォより