Sun City: Artists Against Apartheid

ブルース・スプリングスティーン率いるEストリート・バンドのギタリスト／ソングライターとしても知られるリトル・スティーヴンスことスティーヴ・ヴァン・ザントと、リミックスの手法を広めたDJ／プロデューサーのアーサー・ベイカーを中心に、様々なアーティストが参加した〈反アパルトヘイト〉プロジェクト「Artists Against Apartheid」による1985年のアルバム『Sun City』。

表題曲は、当時人種隔離政策を続ける南アフリカ共和国ポプタツワナに設けられた白人専用リゾート「サン・シティ」に対するプロテストソングで、ブルース・スプリングスティーン、ピーター・ガブリエル、ボブ・ゲルドフ、ルー・リード、ボノ、ピート・タウンゼント、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロン・ウッド、ホール＆オーツ、ジャクソン・ブラウン、ピーター・ウルフ、ボニー・レイット、ボビー・ウーマック、ジョージ・クリントン、アフリカ・バンバータ、ランDMC、カーティス・ブロウ、ジミー・クリフ、ビッグ・ユースなど、総勢49組のアーティストがワンフレーズずつをリレーする形で歌われている。

「闘争は続く」と題されたジャズヴァージョンの「The Struggle Continues」は、マイルス・デイヴィス以下、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスという”黄金の第二期マイルス・クインテット”からのメンバーに、独自の両手タッピング奏法で名をはせていたジャズギタリストのスタンリー・ジョーダンが加わる編成で録音された。

また、本作のレコーディングのためニューヨークに赴いたU2のボノは、スティーヴ・リリーホワイトの仲介で、当時新作『Dirty Work』をレコーディング中だったローリング・ストーンズのキース・リチャーズとロン・ウッドに出会い、そこでブルースのいろはを教示してもらったことが、「Silver And Gold」のインスピレーションの源泉になったという。また、U2本隊による同曲のバンドヴァージョンが、2年後に発表されたシングル「Where the Streets Have No Name (約束の地)」のB面に収められている。