Double Best Cheb Khaled

帝王ハレドがもっとも上がり調子だった85年〜90年までのローカル録音を中心としたベスト盤！

ワールド・ミュージックというジャンルが日本でも知られるようになった80年代後半に紹介され、そのシーンを代表するアーティストとして名を残したひとりが、アルジェリア音楽ライを世界に広めたシェブ・ハレドでした。彼は1988年に発表された大ヒット作“Kutché”で世界的な知名度を獲得、その後90年代になると世界向けの作品を中心に国際的な活動を行うようになりますが、それまでのローカル向けのライから、どんどんとソフィスティケートされてゆくサウンドにやや寂しさやジレンマを感じてしまったファンの方も多かったはず。このアルバムはそんな変わってしまう前の“ドメスティックなポップ・ライ”を聴かせていたハレドが楽しめるベスト編集盤です。

アルジェリアの港町オランで生まれた大衆歌謡音楽ライの“帝王”と呼ばれたハレド（1960年生まれ）は14歳で最初のシングルを発表し、それがすぐに大ヒット。さらに20歳あたりからはライの現代化を試みるようになり、それまでの伝統的なスタイルから、エレキギターに加えてシンセサイザーやリズム・マシーンを導入した“ポップ・ライ”のスタイルを作り出し一躍大スターの称号を手に入れました。その評判はかつての宗主国フランスにも届くようになり、キング・サニー・アデやパパ・ウェンバをプロデュースした仏人プロデューサー、マルタン・メソニエのラヴ・コールで実現したのが前述した“Kutché”でした。そしてその大ヒット以後国際的なスターとなったハレドは、主にユニヴァーサル系のレーベルから新作を出して行くようになり現在に至ります。

本作はそんなハレドがまだ“シェブ”の冠名を付けていた1985年から1990年までに、主に地元アルジェリアやフランスに移民した同胞たちに向けて制作されたライ作品を集めた２枚組です。すでにシンセ＆リズム・マシーンによるポップ・ライのスタイルは定着していましたが、“Kutché”や90年代以降の世界向け作品のような上品なライやシャアビではなく、地元密着型のファンキーかつコテコテのライ録音（おそらくハレドのセルフ・プロデュース作品ばかり）を集めています。この時期はハレド、そしてライのシーンそのものが急成長をしていただけに、その熱量たるや凄まじいものがあります。もちろんローカル録音ならではローファイ感は否めませんが、それを上回るスピリットがハレドの力強い歌声、そしてアレンジから感じ取れます。これぞポップ・ライの神髄が感じ取れる作品。彼の全盛期を知らない人こそ是非聴いて欲しい作品です。

●日本語解説／帯付き


（メーカーインフォメーションより）