Espirales

フェデリコ・アレセイゴール: カルロス・アギーレ、アカ・セカ・トリオ諸作に通ず、
湧き上がる感動の泉。ジャズ/モダン・フォルクローレの隆盛に新たな1ページとして
加わるマスター・ピース。活況を呈するアルゼンチン・メランコリックの新名盤。
マリアーノ・キンテーロ(アカ・セカ・トリオ)他、サポートとの融解も美しい。

フェデリコ・アレセイゴール。ブエノス・アイレスの州都ラ・プラタ生まれの気鋭作曲家/コンポーザー。アルゼンチンのフォルクローレやカンシオンを表現の源泉としながらも、カルロス・アギーレやキケ・シネーシら偉大なる先達らと同じく、ジャズから強い影響を受けたコンテンポラリー・フォルクローレを追求。これまでに自らのグループであるGRUPO LA OCEJA MINGAでの密度の濃い活動や、シルヴィア・イリオンドとの共演を重ねるなど、シーンにおいて確かなポジションを築いてきた。そんなフェデリコが満を持して発表した1stリーダー作「ESPIRALES」。

まず冒頭の"NOTIS"。GRUPO LA OCEJA MINGAのヴォーカリストでもあるCINTIA CORIA、アカ・セカ・トリオのMARIANO CANTERO、バンダ・エルメティカのベーシスト・MARCOS ARCHETTIが参加した、ノラ・サルモリアを連想させるエキセントリックなセッション。フォルクロリックなリズムを基調としながらも叙情的なピアノの静かなる間奏を挟み、再び飛翔する展開で一気に引き込まれること必至だ。そして早くも本作最大のハイライト・トラックともいえるM2"VOZ"が訪れる。フェデリコのメランコリックなピアノを中心とした、美しい歌唱フォルクローレは、味のあるヴォーカル、フレットレス・ベースによるソロ・パートや、刻一刻と変化しながら楽曲を支えるパーカッションが、フェデリコのピアノを際立たせる。その麗しいタッチに動かされた心が、次第に浄化されていくようですらある。その後もギタリスト・MARTIN ACOSTA参加のM3、静かなるピアノ・ソロM4、ピアノと鉄琴、チェロが丁寧なメロディを紡いでいくM5、カルロス・アギーレの世界にも至近と言えるような抑制された情熱に溢れたピアノ・ソロM6・・・と、全編を通じた構成の素晴らしさも特筆。

カルロス・アギーレ、アカ・セカ・トリオの諸作をはじめとする、名だたるモダン・フォルクローレの名盤にも匹敵。5年、いや10年に一度輩出されるクラスのマスター・ピースとなり得る、驚きと感動のクオリティである。

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