荘重な楽章はますます重く、軽い楽章はそれと比べるもんだから嫌が上にも軽く聞こえて、全く違う曲想の曲が交互にサンドされているような。いわば硬いビスケットに柔らかクリームが何層にも交互にサンドされている感じのフォーレです。でも、演奏は真摯だから、やっぱり感動してしまいます。ストラビンスキーはただただ立派な演奏です。

関係者の努力によって実現した録音とのこと。まさに、一期一会のチャンスとばかり、フルネとそのサポーターによっていとおしむが如く、本当に端正に進められた演奏です。版の珍しさもありファーストチョイスではないと思って入手しましたが、今は一番良く聴くこの曲の録音となっています。

ガブリエルをはじめとする作家を愛する方にはもちろん「アベ･マリア」がお好きな方に是非おすすめしたいＣＤです。全体を通して静寂にして清楚でありながら荘厳な感じです。素晴らしい商品を手に入れる事が出来て嬉しい限りです。

フォーレのレクイエムはこの演奏を越えるものはありません。どこまでも美しく、天国が見えてきそうな究極の演奏。オケも合唱も決して強くなり過ぎずに、静かな、透明な空間を描いていきます。３０年前にこの演奏のLPに出会って以来、様々な盤を次々に購入して来ましたが、クリュイタンス盤でとどめです。独唱のディースカウ、アンヘレスも最高。まさに永遠の名盤。LPとCDを所有して、さらに予備もほしいくらいです。

私はチェリの大ファンというわけではありませんが、この盤を聴いて感激のあまり、柄にもなく落涙してしまいました。指揮者の非常に大きな精神力が、１音１音そしてハーモニーを類稀な至高の響きを導いていると思います。とても個性的な解釈による演奏ですが、心に直接響く名演だと思いました。

…２０代前半の頃くたくたで帰宅し、ふとＦＭラジオから流れてきた五重奏曲第２番の第一楽章のイントロで、一瞬後頭部付近に爽風が吹き抜ける様な衝撃的な眩惑感を覚えた。俄然番組表を探してコラールとパルナン奏団の盤と知り、ＣＤ店を探し回った思い出が。素人の自分にとってのフォーレ入門盤にしてやはり戻ってくる原点…かも。