文学を含むすべての芸術が壮大なテーマより心の移ろいを描くようになってきたのが２０世紀の特徴でしょうか？微妙なリズムの変化、緻密でいて温和な和音と旋律、フォーレは音楽でプルースト、ヴェルレーヌの世界を築いています。いわゆる「ヒトに優しい曲」が心地よい時間を運んでくれます。コラールも名演です。

これは味わいのある一枚です。最近ではこういう純フランス風な香りを残したオケは聴けなくなりました。《ペレアス》は東芝盤LPではシャンゼリゼ管弦楽団…といったような表記になっていましたが、実体は名にしおうORTFだったのですね。素晴らしい筈です。時たま現われる各楽器のソロが実に見事です。モノラルなので音の広がりは聞き取れませんが、絹のような感触の弦楽器の音がたまりません。レクィエムも名演だし、これらの音楽を愛される人々にはお勧めの一枚です。

色々考え方や聞き方はあるでしょうが、フォーレの本場ものといっても一概に優れたものばかりではないと言う証明のような演奏。確かにフォーレの管弦楽作品をたんねんに集めたセットはあまり無いので、その意味では重宝しますが、一番の目玉である《ペレアス》など、オーケストラの音がざらついていて細やかな表情が演奏に反映されず、この音楽ならではのほほえみ、聞く者の胸を閉め付ける様なこの曲への郷愁が伝わってきません。こちらの思い込みもあるかもしれませんが、小澤盤ではるかに優れた演奏が聴けます。

ユボー、ヴィアノヴァQ以上のフォーレの室内楽はいまだに無し。

　プラッソンの演奏は比較的よく聴いてきましたが、これまでどの曲の演奏であっても、彼の響きの清澄さ、間の絶妙さは私に音楽的「開放感」を与えてくれたものです。とくにフランス物で、彼ほど安心して聴かせてくれる指揮者は現存では居ません。この曲集においても、そうしたプラッソンの特長がよく表れています。ただ、本当は仏盤のアナログレコードがもっとも表現に富んでいるのですけれども。

このフォーレは間違いなく名盤です。録音は少々篭り気味ですが、フランスの最上のエスプリが聞けます。Op.115の第２ピアノ五重奏曲だけでも未聴の方は是非！

遅まきながら昨日購入。同レーベルのノクターン集とならんで 近頃の愛聴盤となろう。安い、美味い、早い？いい買い物だった。

録音は、コンサートホール「東京オペラシティ」のＳ席で聴いているような臨場感があり残響も程良く好感が持てます。＜4：Pie Jesu＞のソプラノ独唱が少々Off-Mic気味なのも「天井の声」を聴いているような心地よさで、オルガン伴奏もとても美しい。 ライブ録音なので若干の粗には目を瞑って・・・但し、＜3：Sacctus＞のソロ・ヴァイオリン（通常はソリ：1st全員）だけは！？

４，９番での若きアレッドの歌声はすばらしいです。

安さに反して演奏録音ともに十分満足しました。数あるレクイエムの中で、フォーレが一番好きですが、静謐な感動を味わえるお勧めの一枚です