Veinte Pianos

キューバのトラディショナル、アフロ・キューバン、ジャズ、クラシックの要素を独自の感性でミックスした作曲センス、そして旋律を操る独特なピアノ技術は欧米、日本のジャズ・ファンからも支持される名手が、エルナン・ロペス・ヌッサだ。

本作は、そのエルナン本人監修の元、キューバ音楽の次世代を担う若手ピアニストが、エルナンの楽曲に挑戦するトリビュート企画盤。レコーディングにクレジットされるのは、ここ数年キューバのジャズ・ピアノ・シーンを賑わす人気の若手実力派ロランド・ルナ、そしてエルナンの甥である才人ハロルド・ロペス・ヌッサ、さらには、選抜されたノンプロの学生(年齢は10代半ば!!)までと、実に多彩なメンバーが、エルナン作の全20曲を完全ピアノ・ソロで披露している。さらに特筆は付属のDVD。総勢15名/21曲の演奏シーンの他に、楽曲提供者エルナンと各曲の演奏者による対話も収録。演奏に際して注意すべきポイントやアドバイス、曲に対するイメージまで丁寧にエルナンが解説するという、プラクティカルな要素も盛り込まれいる優れモノ。普段は完成された録音だけを聴いているだけだが、このCD/DVDは、作者、演奏者が曲に対して抱いている深い裏側の部分まで知ることができ、実に興味深い。

キューバン・ジャズ・ファンはもちろん、ジャズやクラシックに至るプレイヤー思考のリスナーにとっては、まさに「キューバン・ピアノ・レッスン」になるかもしれない。幅広く聴いて、見て頂きたい逸品だ。(新譜インフォより)