Elvis Presley
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Elvis Presley (エルヴィス・プレスリー) プロフィール

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ロックンロールの黎明期を彩った エルヴィスの名ロックンロール・チューンにおける爆発的なエネルギー、そして名バラード曲における甘さとほろ苦さを併せ持った何とも言えない情感、といったものは現在の耳で聴いても瑞々しさをいささかも失っていない。エルヴィス・プレスリーは20世紀を代表するポピュラー・シンガーであり、今後もその愛すべきキャラクターとともに彼の歌は聴き継がれていくに違いない。

エルヴィス・アーロン・プレスリーは1935年1月8日、ミシシッピ州テュペロに生まれている。エルヴィスの一家はファースト・アセンブリー・オブ・ゴッド教会に入信しており、エルヴィスも少年時代から白人の歌うゴスペル・ソングに親しんでいたという。と同時にカントリーも好きだったエルヴィス少年は1945年、11歳の頃、歌唱コンテストでレッド・フォーリーのカントリー・ソングを歌って2位になったことがあるという。またこの翌年の誕生日にはギターをプレゼントされたそうだ。1948年に一家はアメリカ南部のテネシー州メンフィスに移住。メンフィスは黒人音楽の中心地として栄えていた町だった。テュペロに住んでいたときからエルヴィスインク・スポッツビリー・エクスタインなどのスムーズな黒人音楽を好んでいたそうだが、メンフィスに移ってからはより泥臭い黒人のR&Bに惹かれていくようになった。エルヴィスの証言によると当時メンフィスの白人の間では、R&Bは「罪深い音楽」と認識されており、彼が家でR&Bを聴いていると、何かととやかく言われたという。エルヴィスが惹かれた黒人音楽〜R&Bは一般的な白人層にはそうした見方をされていたのだ。

ハイスクールを卒業したエルヴィスはトラック運転手として働き始めた。彼はその最初の給料で母親にプレゼントをしようと決めた。メンフィス・レコーディング・サービスのスタジオへ出向いたエルヴィスは、母親の大好きだった古いバラード・ソング“マイ・ハピネス”と“ザッツ・ホエン・ハートエイクス・ビギン”をレコーディングした。因みにこのときのレコーディングの料金は4ドルだった。運命的な出会いはここに始まった。このスタジオを経営していたのが有名なサム・フィリップスで、彼は50年代から黒人R&Bシンガーや白人カントリー歌手たちの活動の場を提供してきた男であり、1952年にサン・レコードという新しいレコード会社を発足したばかりの白人プロデューサーとして仕事をしていた人物。有名な彼の言葉で、黒人のように歌える白人シンガーがいたら、自分は億万長者になれると思った、というのがあるが(この発言は言うまでもなく上述したような黒人音楽に対する偏見と関係があり、黒人音楽のレコードを幾つも制作していたフィリップスはそれが白人の若者達に爆発的にウケることが判っていた)、そんな白人シンガーを求めていたフィリップスのもとへ現れたのがエルヴィスだったのだ。エルヴィスが自主制作レコードを吹き込んだ日、彼の歌に可能性を感じたスタジオのスタッフがエルヴィスの住所をメモしていたと言われている。約1年後の1954年6月、フィリップスはエルヴィスに連絡をとった。そして7月4日から4日間にわたって吹き込みが行われた。レコーディング中には何曲かが試され、試行錯誤が重ねられたが、エルヴィスが“ザッツ・オールライト・ママ”を歌いだしたとき、スタジオの空気が一変したといわれている。スコッティー・ムーアのギター、ビル・ブラックのベース、エルヴィスのアコースティック・ギターのみというドラムレスの上で、エルヴィスが圧倒的なエネルギーを感じさせる歌唱を聴かせた。またそれに触発されたプレイヤー達がその歌に乗ってパワーを放出した。同年7月にこの“ザッツ・オールライト・ママ”は“ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー”とカップリングでシングル・リリースされた。エルヴィスのプロ・キャリアがここから始まり、メンフィスのエルヴィスは全米の、そして世界のエルヴィス・プレスリーとなっていくのだった。

エルヴィスの音楽、歌を形づくってきたのは、ブルースやR&B感覚に代表される黒人音楽とカントリー的な要素を持った白人音楽の最良の部分、そしてスピリチュアルなゴスペル感覚というアメリカ大衆音楽の根っこにあるものだった(アメリカ大衆音楽のルーツを求めてなされる研究やフィールドワークによって、現在ではそうした黒人音楽と白人音楽の根っこにあるものが究極的には通底していることも判っている)。それがエルヴィスという特異なキャラクターを通じて融合し、世界的なものとなったのだった(同様のロックンローラーは同時期に多発してはいるが、一般的なスター性においてエルヴィスを凌ぐ個性はいなかったと極論してもそう間違いではないだろう)。またエルヴィスの個性については現在までにさまざまな角度から焦点が当てられており、ここでは触れるところまでに留めるが、彼がひと一倍感受性の強い人間であったことはよく知られている。またそうした傷つき易い繊細な感覚を持ち続けたまま、彼は永眠するまでスターとしての自分を自覚しつつ、そのスター性を貫き通したのだった。

20世紀を代表するアーティストというとビートルズのことを挙げる人が多いかもしれないが、このエルヴィス・プレスリーもまたビートルズと同様の敬意が払われるべきアーティスト、普遍的な魅力を備えたシンガーだ。よくいわれる「ビートルズから全ては始まった」式の言説の裏で、現在におけるエルヴィスの評価は不当に低い気がしてしまう。やはり現在のロック・ミュージックと地続きの次元で活動していたビートルズに比べると(それこそがビートルズをイノヴェイターと呼ぶべきことなのかもしれないが)、エルヴィスの音楽は若いリスナーにとってはやや古臭いものに映ってしまうのは仕方がないことかもしれない。ただそうしたこともあるにせよ、先入観なくダイレクトにエルヴィスの音楽に飛び込めば刺激的なものが見つかるはず、とも思う。楽曲に込められた熱や彼の個性そのものな歌などを聴けば若いリスナーにも何か現在の音楽を聴くときとは違った質の感動を憶えるのではないだろうか。熱心なファンに支えられているという構造はビートルズと同様のエルヴィスだが、もっと幅広い層の年代に彼の歌の偉大さが伝わるとよいのではないかと思う。ロックンロール系のサウンドが好きな若いリスナーはまず手始めに、初期のロカビリー的な音に触れてみてはいかがだろう。20世紀のアメリカが生んだ偉大なる発明品、ロックンロールが今も太い幹となって今のシーンにも受け継がれていることが解るだろうし、エルヴィスの爆発的なエネルギーが身近に感じられることだろうと思う。

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