モーリス 光文社古典新訳文庫

E.M.フォースター

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784334753788
ISBN 10 : 4334753787
フォーマット
出版社
発行年月
2018年06月
日本
追加情報
:
456p;16

内容詳細

凡庸な少年時代から、モーリスは自分の願望を知ってはいた。ケンブリッジ大学の学舎で知的なクライヴと懇意になり、戯れに体が触れあううち、彼の愛は燃え上がる。クライヴもまた愛の言葉を口にするが…欲望のままに生きることが許されない時代に生きる青年の苦悩と選択を描く。

【著者紹介】
E・M・フォースター : 1879‐1970。英国の小説家。ケンブリッジ大学キングズ・カレッジ卒業。1969年には、英国でもっとも名誉とされるメリット勲章を受章した

加賀山卓朗 : 1962年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 藤月はな(灯れ松明の火) さん

    同性愛者であったフォスターが自身の為に描いた物語。フォスターは、貴族が異国の人や階級が違う人との愛をテーマにした物語をよく、執筆している。それは人と人との愛が噛み合い、愛し合える美しさと困難さ、それに対する不断な努力の必要だという事を知っていたからかもしれない。モーリスが本質に気づくきっかけになったクライヴがその愛を拒むようになった理由が曖昧としているのがより、遣る瀬無い。また、アレックがモーリスを脅迫する場面は、階級によって無視される使用人の哀しみと憤りだけでなく、愛した相手に拒まれる辛さを感じてしまう

  • ペグ さん

    同性愛について聖書では「口にするのも憚られる罪」とされているとのこと。モーリスの相手クライヴはケンブリッジ在学中、プラトン的友愛関係を体感したかっただけで、実は異性愛者だったのでは?と思ったりした。明晰で理想主義的なクライヴが政治に走り、凡庸で俗物らしいと表現されていたモーリスが自らの意思に忠実な生き方を選ぶ皮肉。書かれてから57年後に出版された。犯罪とされた同性愛を描いた名作。

  • syaori さん

    同性愛者であるモーリスの半生を描いたこの小説が書かれたころ、英国では同性愛は違法だったそう。そんな時代に、当時を舞台にハッピーエンドを必須として書き始められた本作はどこかお伽噺めいているようにも思えます。クライヴとの恋は自分の過去を暴かれるような落ち着かなさがあったのですが、アレックとの恋は彼らが消える緑の森のイメージとともにとても幻想的。しかしだからこそ、ここには同性愛の物語を超えた普遍的なものが浮かび上がっているのだと思います。例えば愛の達成する美しさと優しさが、そのために抱えなければならない苦悩が。

  • 星落秋風五丈原 さん

    モーリスが探していたレコードがチャイコフスキーというのも象徴的。クライヴが告白し、後にモーリスが告白して拒絶されてからの寝室のモーリス、クライヴへの想いが消えないモーリスが彼の屋敷に滞在して夜窓を開け、「来い!」と叫んだ途端にある人物がやって来る場面など、小説ではやはり恋愛描写が美しい。社会と宗教と家族と法律、周り全てが同性愛を禁じる中で、自分を殺すに等しい想いとどう向き合って生きていくのかを、若者達が選び取っていく物語。同性愛が犯罪と看做された時代、著者の死後に刊行。映画公開により一大ブームが起こる。

  • ぺったらぺたら子  さん

    待望の新訳にて再読。ゲイ文学である以上に、愛の物語として、無垢な人間性の復権の物語として読みたい。髪が花粉だらけになるところが、文明社会から「無法者」として排斥される立場にいながらも、実は生殖のサイクルたる自然と交歓し、迎え入れられているという事なのである。そしてモーリスは自らの偏見を解き放ち、自然な考えを受粉するのだ。繁殖や生産性だけが人間の、自然の目的ではない。多様さの共鳴する場こそが自然なのだ。名作古典として普通に本屋に並ぶのがとても嬉しい。さあ読後は窓に叫ぼう、「来い!」

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