生誕の災厄

E.M.シオラン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784314011815
ISBN 10 : 4314011815
フォーマット
出版社
発行年月
2021年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
336p;20

内容詳細

痛烈なユーモアと皮肉に満ちたアフォリズム。闇の底から生への呪詛を発しつづけた、異端の思想家シオランによる“奇書”を新装刊行。

【著者紹介】
E・M・シオラン : 1911年、ルーマニア生まれ。ブカレスト大学文学部卒業。哲学教授資格を取得後、1937年パリに留学し、定住。『歴史とユートピア』により、コンパ賞を受賞。1995年逝去

出口裕弘著 : 1928年、東京生まれ。フランス文学者・小説家。1951年東京大学文学部フランス文学科卒業。元一橋大学教授。『坂口安吾―百歳の異端児』(新潮社)により、伊藤整文学賞、蓮如賞を受賞。2015年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 内島菫 さん

    午前三時の眠れぬ夜から始まる本書は、私たちが時間でもあることに気づいてしまった人の懊悩と快哉のひとり二重奏であるかのようだ。シオランのいう逆説や否定こそが本当に思えるのは、二項対立を形成するペアが根っこではつながっていたり、同じものの表裏であったり、縁として支え合ったりするからだろう。訳者が跋文で、シオランの言葉を論破するのは難しくないとしつつも、同時にシオランの言葉に返す言葉が見つからないと告白するのもまた、シオランがあらわにしてみせた私たちの倒錯性/二重性を示している。

  • 双海(ふたみ) さん

    「生誕こそ、死にまさる真の災厄である。」 異端の思想家シオランの奇書。静かに読み継がれてきた書物は、やはり静かに読み継ぐよりほかはない。

  • Kano Ts さん

    これがアフォリズムって文体か〜。この目的には沿わないんじゃないかなぁ。というのが第一印象。中には思わず笑ってしまうような生きる力を与えてくれる文章もある。間違いなく思想としては一流だろう。ただアフォリズムという文体の性質の問題だと思うが、僕にとっては本全体としての方向性というか積み重ねが感じられなかった。簡単に言えば「名言集」みたいな感じで、気づきは与えてくれるが深みが足りない(読み取れない)という感じ。お守り代わりに本棚に入れておきたい本ではある。たまに取り出してぺらっと読めば生きる力を与えてくれる。

  • 𝐂𝐄𝐋𝐄𝐒𝐓𝐈𝐍𝐄 さん

    突き抜けた絶望の言葉からは明るさを感じた。二階堂奥歯さんがたびたび引用しており、シオランの著作の中で最も内容が鋭いと評していたため、手に取った。アフォリズムが連なる形式は、読みやすかった。

  • 東京湾 さん

    「救済などはないという確信は、救済の一形態であり、救済そのものでさえある。そこから出発して、みずからの生を設計することもできようし、一個の歴史哲学を構築することもできるだろう。解決策としての、唯一の脱出型としての、解決不可能なもの...」行為を否定し、存在を否定し、誕生を否定する果てのない呪詛。稀代のペシミスト・シオランによる劇薬的アフォリズム集。現世に対する徹底的なまでの懐疑と絶望の中には軽妙な皮肉とユーモアが光っており、その簡潔な言葉に含まれる辛辣さもいっそ清々しく感じられた。

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