ダスティ・スプリングフィールドこと、メリー・インベル・キャリン・オブライエンは1939年4月16日に、ロンドンのハムステッドに生まれる。1959年には兄トムが組んでいたスプリングフィールズに加入。シングル・ヒットを数曲放ったスプリングフィールズは間もなく解散、ダスティはソロ・アーティストとして1963年に活動を開始する。1stヒット“二人だけのデート(I Only Want To Be With You)”をはじめ、フィリップス・レーベルに数多くのヒットを残し、アトランティックに移籍後、名盤の誉れ高いダスティ・イン・メンフィスを発表。70年代以降も作品を発表し続けた。
ダスティ・スプリングフィールドは1987年に、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったエレ・ポップ・デュオ、ペット・ショップ・ボーイズと競演した。"What Have I Done to Deserve This?" (ペット・ショップ・ボーイズのアルバムアクチュアリーに収録)がその曲で、これは英米のチャートでヒットを記録し、若い世代にダスティ・スプリングフィールドの名を広めるのに一役買った。ペット・ショップ・ボーイズのニール・テナントは1954年生まれだが、イギリスで少年時代を過ごした彼の最初の音楽体験にダスティも含まれていたのかもしれない。ともあれクールで理知的かつキャッチーな音楽性を持つ、このポップ・デュオがダスティをこの時期に素材として取り上げたというのは面白い(単に幼い頃のファン心理からだけだったりして….)。