(こちらは新品のHMVレビューとなります。参考として下さいませ。中古商品にはサイト上に記載がある場合でも、封入/外付け特典は付属いたしません。また、実際の商品と内容が異なる場合がございます。)
90th birthday collection
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/エームス・クラシックス全録音集(28CD)
1923年生まれの現役長老指揮者で、10月には来日を控えるスクロヴァチェフスキがドイツのレーベル、エームス・クラシックスからリリースした録音を全部集めたお買得ボックスの登場。68ページの欧文ブックレットには、ジョージ・セルやオーマンディ、ショスタコーヴィチとのツーショットや、スクロヴァチェフスキの登山姿、フロアーリアン大聖堂地下のブルックナーの墓前での姿など数多くの写真も掲載されています。
【ブルックナーで人気指揮者に】
スクロヴァチェフスキの人気が日本で急速に高まったのは、1995年にリリースが開始された一連のブルックナーの交響曲のシリーズでした。このブルックナーでの大成功を受け、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスと交響曲全集を完成、その間、バルトークのオケコンやベルリオーズの幻想交響曲、ショパンのピアノ協奏曲集、スクロヴァチェフスキの自作の録音もおこなっていますが、今回のボックスはそれらも含めたすべての録音を集めたものとなっています。
なお、人気のきっかけとなったブルックナーの交響曲シリーズは、ドイツのアルテ・ノヴァ・レーベルがザールブリュッケン放送との共同制作で完成したものですが、その後、同レーベル代表取締役のディーター・エームス氏が、さらなる飛躍を求めて自身の名前をつけたレーベル「エームス・クラシックス」を興したため、現在はエームス・クラシックスからのリリースとなっています。
【スクロヴァチェフスキのスタイル】
スクロヴァチェフスキの演奏スタイルは、手の込んだ内声部や対位法的な面白さなど楽曲の情報を漏れなく克明に聴かせようとするもので、ときに細かな部分まで工夫を凝らして仕上げられたオーケストラの響きは常に明晰で聴きとりやすく、音楽の流れも抑揚がしっかりとついた語り口のうまいものとなっているのが特徴。
特に、ザールブリュッケン放送交響楽団を指揮した録音では、ホールや録音のせいもあってかそうした傾向が強いものが多く、ブルックナーとベートーヴェンの交響曲全集、バルトークの管弦楽のための協奏曲などでは非常に解像度の高い演奏を聴かせてきました。
その後、2007年にザールブリュッケン放送交響楽団は、カイザースラウテルン南西ドイツ放送交響楽団を吸収合併し、名称を「ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(縮めてドイツ放送フィル)」とし、シューマンとブラームスの交響曲全集を録音しています。(HMV)
【収録情報】
Disc1
・ブルックナー:交響曲第00番ヘ短調 WAB99
録音:2001年3月6-10日
・ブルックナー:序曲ト短調 WAB98
録音:2001年3月6-10日
Disc2
・ブルックナー:交響曲第0番ニ短調 WAB100
録音:1999年3月22-25日
・ブルックナー:弦楽五重奏曲ヘ長調 WAB112〜第3楽章
(スクロヴァチェフスキによる管弦楽版)
録音:1999年3月22-25日
Disc3
・ブルックナー:交響曲第1番ハ短調 WAB101(リンツ稿)
録音:1995年6月13-18日
Disc4
・ブルックナー:交響曲第2番ハ短調 WAB102(1877年版)
録音:1995年6月13-18日
Disc5
・ブルックナー:交響曲第3番ニ短調 WAB103(1889年版)
録音:1996年10月
Disc6
・ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』WAB104(第2稿/ノーヴァク版)
録音:1998年10月25-28日
Disc7
・ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 WAB105
録音:1996年5月31日-6月3日
Disc8
・ブルックナー:交響曲第6番イ長調 WAB106(ノーヴァク版)
録音:1997年3月3-4日
Disc9
・ブルックナー:交響曲第7番ホ長調 WAB107(ノーヴァク版)
録音:1991年9月27-29日
Disc10-11
・ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 WAB108(ハース版)
録音:1993年10月8-9日
Disc12
・ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB109(1894年原典版)
録音:2001年1月12-18日
Disc13
・ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調 Op.21
録音:2005年6月1-4日
・ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調 Op.60
録音:2005年10月20-22日
Disc14
・ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 Op.36
録音:2005年6月1-3日
Disc15
・ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
録音:2005年1月15-16日
Disc16
・ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67
録音:2005年10月14-19日
・ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
録音:2005年10月31日-11月3日
Disc17
・ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92
録音:2006年3月22-23日
・ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調 Op.93
録音:2006年3月20-21日
Disc18
・ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱付き』
アネッテ・ダッシュ(ソプラノ)
ダニエラ・シンドラム(メゾ・ソプラノ)
クリスティアン・エルスナー(テノール)
ゲオルク・ツェッペンフェルト(バリトン)
バイエルン放送合唱団
録音:2005年5月23-26日
Disc19
・シューマン:交響曲第1番変ロ長調『春』Op.38
・シューマン:交響曲第4番ニ短調 Op.120
録音:2007年3月20-23日
Disc20
・シューマン:交響曲第2番ハ長調 Op.61
録音 2007年11月
・シューマン:交響曲第3番変ホ長調『ライン』Op.97
録音 2007年11月
Disc21
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 Op.68
録音:2011年2月12-13日
Disc22
・ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
録音:2011年3月10-13日
Disc23
・ブラームス:交響曲第3番ヘ長調 Op.90
録音:2011年3月14-19日
Disc24
・ブラームス:交響曲第4番ホ短調 Op.98
録音:2011年3月14-16日
Disc25
・バルトーク:ディヴェルティメント BB118
録音 2002年11月25-26日
・バルトーク:管弦楽のための協奏曲 BB123
録音:2002年6月10-15日
Disc26
・ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
録音:2002年11月27-29日
・ベルリオーズ:『ロメオとジュリエット』Op.17〜「愛の情景」
録音:2003年6月26日
Disc27
・ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11
エヴァ・クピエツ(ピアノ)
録音:2003年9月30日
・ショパン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 Op.22
エヴァ・クピエツ(ピアノ)
録音:2003年9月30日
Disc28
・スクロヴァチェフスキ:ミュージック・アット・ナイト
録音:2005年10月29-30日
・スクロヴァチェフスキ:ファンタジー『夜の横笛』
ロスヴィータ・シュテーゲ(フルート)
録音:2008年6月14日
・スクロヴァチェフスキ:シンフォニー
録音:2006年1月12-14日
ザールブリュッケン放送交響楽団
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
【スクロヴァチェフ・プロフィール】
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキは1923年10月3日、ポーランドのルヴォフ(現ウクライナ)生まれ。11歳でピアニストとしてデビュー、13歳で指揮者としてもデビュー、並行して作曲を始める神童ぶりを発揮。生地の音楽院、クラクフ音楽院で学び、戦争で手を負傷した後は指揮と作曲に専念します。1947年にシマノフスキ作曲コンクールで優勝した後、パリで作曲を名教師ナディア・ブーランジェ、指揮をパウル・クレツキに師事。1956年ローマ国際指揮者コンクールで優勝、同年から59年までワルシャワ国立フィルの指揮者をつとめました。1958年ジョージ・セルの招きでクリーヴランド管に客演、セルの薫陶を受けた後、1960年よりアメリカに移住。60年から79年までドラティの後任でミネアポリス交響楽団(現ミネソタ管弦楽団)の音楽監督、84〜91年ハレ管弦楽団の首席指揮者をつとめ、オーケストラ・ビルダーとしての手腕を発揮して同管を大きく育てたことでも注目を浴びる一方、ルービンシュタイン、スターン、シュタルケルをはじめとする巨匠からの信頼も厚く協奏曲での伴奏を多く手がけ高い評価を得ました。
1970年代前半よりザールブリュッケン放送交響楽団に客演指揮を頻繁に行い、1994年からは同響の首席客演指揮者のポストにあるスクロヴァチェフスキはアルテ・ノヴァ・レーベル(現エームス・クラシックス)にブルックナーの交響曲全集を録音・完成し、日本での評価も著しく高いものとなります。次いで2005〜06年にかけてベートーヴェンの交響曲全曲レコーディングも完了し、ライフ・ワークとして高く評価されています。
ギュンター・ヴァント亡き後、現代最高のブルックナー指揮者の一人として(97年にマーラー=ブルックナー協会からゴールド・メダル授与)、また現役最高齢の巨匠(2008年10月で84歳!)として、スクロヴァチェフスキは日本でもN響、読響へ度々客演指揮し、実演でも最高級の賛辞と評価を批評家、聴衆、楽団員から受けています。2003年10〜11月にザールブリュッケン放送交響楽団との待望の日本公演でのブルックナーはディスクでの期待に違わぬ名演で聴衆を魅了したほか、N響と読響に度々客演。2006年5月にはN響に客演しています。同年12月には、ザールブリュッケン放送交響楽団との2度目の日本公演で4晩にわたってベートーヴェンの交響曲全曲演奏を指揮し、録音を完成したばかりのCDと相俟って聴衆を感動の嵐に包みました。
2007年4月から読売日本交響楽団第8代常任指揮者に就任して大きな話題と呼び、4月の就任記念演奏会を含む6回の演奏会でもその若々しい指揮ぶりは深い印象を聴衆に残し、一年2回のペースで来日。2008年4月にはもう1年の契約延長が発表されて、ファンを喜ばせました。