チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 新潮文庫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101181028
ISBN 10 : 4101181020
フォーマット
出版社
発行年月
1982年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,334p

内容詳細

十五世紀末イタリア。群立する都市国家を統一し、自らの王国とする野望を抱いた一人の若者がいた。その名はチェーザレ・ボルジア。法王の庶子として教会勢力を操り、政略結婚によって得たフランス王の援助を背景に、ヨーロッパを騒乱の渦に巻き込んだ。目的のためなら手段を選ばず、ルネサンス期を生き急ぐように駆け抜けた青春は、いかなる結末をみたのか。塩野文学初期の傑作。

【著者紹介】
塩野七生 : 1937年7月7日、東京生れ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。’68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。’82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。’83年、菊池寛賞。’93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。’99年、司馬遼太郎賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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塩野七生という人は、人間を描くことについ...

投稿日:2021/04/17 (土)

塩野七生という人は、人間を描くことについては一流であるが、こと「碌でもないが実力のある人間」の魅力を描くことにかけては超一流であるだろう。碌でもないと言って悪ければ、禍々しい人間、唾棄すべき人間、極悪人、でも構わない。そういう、いわば一般倫理的に問題あるとつい感じてしまうような人間、だが、魅力があると認めざるを得ないような人間、そういう人間の魅力を描くのになんの躊躇も無く、嘘も書かず、隠しもせず、それでいて十分に魅力を感じさせるように描き出す力を持っている。チェーザレ・ボルジア。「禍々しい人間」としては超一流であろう、その人の評伝を描く小説。この小説を読んで、この男に惹かれないままでいるのは難しかろう。

Verdi さん | 神奈川県 | 不明

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イタリア史に関する著作ではナンバーワンの...

投稿日:2021/03/03 (水)

イタリア史に関する著作ではナンバーワンの人気を誇る著者の若き日の作品。デビュー作ではないが、第二作で、書下ろしでもある本作で毎日出版文化賞を受賞しており、初期の代表作とも言えよう。 描かれるのは、15世紀末、イタリアの統一を目指して闘うチェーザレ・ボルジアの生涯。父・ロドリーゴ(後の法王アレッサンドロ六世)、妹・ルクレツィア、マキャベリ、レオナルド・ダ・ヴィンチといったルネサンス期の著名の人々だけではなく、カテリーナ・スフォルツァなど個性的な人物が次から次へと登場する。 著者自身は「若書き」と考えているようだが、チェーザレに惚れぬいていただけあって、その熱い思いが強く伝わってくる。作家は成熟すると巧みにはなるものの、その心の中の“熱さ”を果たして維持できるのか、作品に注ぎこめるのかは疑問だと言える。 『ローマ人の物語』までの著者の作品をほぼ読んでいるが、本作を越える作品はないというのが私の考えだ。だから、本作を含め手元に残しているのは初期三部作と『海の都の物語』正・族の計5冊。それで充分だ。 そして、古典など評価の定まった作品を除くと、20代前半までに読んだ作品で50代になっても評価を変える必要がないと思える作品はかなり少ないが、本作がその一つである。 チェーザレを道徳面から考えると、とても素晴らしいとは思えない。しかし、本書で著者が描き出した姿を見る限り、極めて魅力的な人物であったことは間違いない。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    久しぶりに再読。1970年度の毎日出版文化賞受賞作なので、初出はもう随分以前である。しかし、今でもけっして古びることなく輝きを失わない。チェーザレ・ボルジアの波乱に富んだ生涯を見事に描き出している。そして、読後は静かな感動に包まれるのである。

  • まちゃ さん

    (再読)何回読んでも塩野七生さんの独特の文章で綴られた歴史小説に惹き付けられます。人間世界の歴史に対する作者の真摯で温かい眼差を感じずにはいられません。十五世紀末イタリア統一の野望を抱いたチェーザレ・ボルジアの生涯を描いた物語。イタリア語のチェーザレ(Cesare)は、ラテン語でカエサル。かの有名なガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー )に通じます。両者とも凡人には見えない未来を構想して行動する天才であったと思います。

  • マエダ さん

    マキャベリが君主論において、新たに君主になったものが見習うべき人物としてを上げている程の人物であるチェーザレ。レオナルド・ダ・ヴィンチとの繋がりやマキャベリとの関係、人心掌握などとても面白い。

  • rico さん

    群雄割拠のルネッサンス期イタリアを駆け抜けたチェーザレ・ボルジアの生涯。野心に溢れ、権謀術数を弄し、邪魔者を周到に排除(殺)し、昇りつめていった果てに、流星のように墜ちていって。遊びが少なく情報量の多い塩野さんの文体と慣れない地名や名前に手こずりつつも、気がつけば、この血塗られた美しき君主に魅了されていた。歴史にifはないけど、法王と同時に病に倒れることがなければ、彼がイタリアを統一し、ヨーロッパは今と違った形になっていたのだろうと夢想してみる。とはいえ天寿を全うするチェーザレはなかなか想像しにくいけど。

  • 優希 さん

    優雅な冷酷さが全編を貫いていました。チェーザレ・ボルジア。世界史における織田信長的存在に思えます。ルネサンス時代、利用できるものは利用し、自らの帝国を擁立しようとする姿はときめく悪的感情になりました。「毒を盛る男」として歴史に名を刻んだチェーザレ。「守る」政治より勝った存在なのでしょうね。華麗なる毒殺者をして歴史上に名を残したチェーザレの悪の美しさに惹かれずにはいられません。

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